4月16日付けウォールストリート・ジャーナル紙は、中国に対抗するサプライチェーン構築のため、米国とフィリピンがハイテク製造拠点を設立することに合意した、との解説記事を載せている。要旨は次の通り。
ヘルバーグ国務省経済担当次官は4月16日、フィリピンとの間でルソン島にハイテク製造拠点を設立することに合意したと発表した。この構想は、中国の世界的なサプライチェーン支配を弱めることを目的としており、AIを活用した自動化工場がフィリピン政府の提供する4000エーカーの土地に設立される。
このハブ(拠点)の使用料は無料で米国大使館と同等の外交免除(diplomatic immunity)を与えられ、特別経済区としてアメリカの法律の下で運営される。このような拠点は、世界でも初めての試みであり、当初2年間のリース契約は99年間更新可能である。
この構想は、トランプ政権が進める中国によるサプライチェーン支配に対抗する取り組みの一環であり、米国防衛産業その他の重要産業の発展を加速させるとともに、中国が支配するレアアースその他電子機器の重要要素への依存を減少させることを目指している。
これは同時に、中国の軍事的圧力に直面する東南アジアの主要同盟国であるフィリピンとの政治的経済的連帯を深める意義もある。中国は南シナ海においてフィリピンに対する攻撃的な戦術を強めてきている。
この構想は現時点では概念的な段階にあり、いかなる米国企業が参加するかなど詳細については今後の検討に委ねられている。
中国は現在、レアアース加工の約90%、リチウムイオン電池生産の約70%を支配しており、昨年ほとんどのレアアースの輸出を停止したために、米中の貿易紛争が激化した。この構想は、貿易紛争の解決を目指す予定の米中首脳会談を控えたタイミングで発表された。ワシントンの中国大使館は、国際貿易秩序を乱すようないかなる国の排他的貿易ブロックにも反対するとコメントしている。
フィリピンは世界で最も鉱物資源が豊富な国の一つであり、ニッケルの生産量では世界第2位を誇る。銅、クロム鉄鉱、コバルトなどの資源も豊富であるが、フィリピンはこれまでこれら鉱物を原材料として輸出することが多く、アメリカの製造業にとって加工鉱物の信頼できる供給源にはなっていなかった。
