2026年2月8日(日)

新しい〝付加価値〟最前線

2026年2月8日

中国メーカーと共同開発したオーブンレンジ

 2022年には、ギャランツ社と共同開発契約を結び、電子レンジを市場導入する。ギャランツ社は中国大手家電メーカーで、全てを合わせると年間5000万台の生産力を有する。80%はOEM。白物家電の中でも電子レンジを得意とする会社だ。大阪にギャランツジャパンがあるが、販社ではなく開発拠点として設立されている。

 象印としては、電子レンジの商品化は17年ぶりであり、パートナーとしてギャランツ社を指名した形だ。が、通常ラインナップに加え、スタンモデルも出てきたのには驚いた。

 確かに、電子レンジは形のバリエーションがない上、センサー位置を含め、いろいろな制約が多い。似ていてもスタンはオリジナルと前述したが、制約条件が決まった後に、デザイン制約を入れるのはかなり面倒な仕事になる。このため作るべきモデルの1つとしてスタンは初めから考慮していたように思われる。

 スタンは、調理家電でシリーズ化のニーズが高かった、電子レンジとオーブントースターを同時にラインナップに加える。

7年目のモデルチェンジ

 そして2025年。炊飯器のモデルチェンジ、電気ケトル・加湿器の追加を行う。家電のモデルチェンジは通常1年ごと。7年というのは、かなり長い。クルマですらモデルチェンジは、4年に1度行われる。

 家電のモデルチェンジが多いのは、「新しい」ということが売りになるからだ。だが、それは流通の考え方。パナソニック(旧松下電器)が、販売価格の争いで、ダイエーに負けた結果、日本の流通はものすごく力を持った。結果、メーカーは年毎に新製品を出すことになるのだが、失ったものもある。「ブランド」だ。

 ブランドはイメージだ。メーカー黎明期、そのイメージをもたらしたのは「耐久性」。ルイ・ヴィトンなども、そのタフさで、名前を売った部類だ。その後、高級品=タフという図式は薄くなるが、それでも人は、ここ一番のためにお金を払う。しかし、そのような商品を作りあげるには、当然時間も、コストもかかる。毎年モデルチェンジするということは、イメージが形成されにくい。日本家電は高品質というイメージを持つが、そこまで。日本の家電メーカーのユーザーイメージは、ソニーを除くと希薄だ。

 デザイン家電は、ブランドイメージ定着の過程に似る。ユーザーに認めてもらうことが必要。このためには、同じモデルができる限り長期、店頭にあり続ける方が有利だ。

象印・堀本  スタンは、お店毎にきちんと説明させてもらい、スタンのコンセプトに共感していただいたお店に置かせてもらっています。またお店には回転の良いモデルも提案し、同じ見栄えのスタンを長く置いてもらっても、不都合のない様に配慮しています。

 ここにスタンの秘密の一端が垣間見える。バーゲンをして売るようなモデルと分けたのだ。日本の場合、メーカー製品は店が購入、それに値段を付けて販売する。店の利を少なくすると価格は安く、多くすると高くなる。バーゲンは、売りを伸ばすと言う意味もあるが、する理由として大きいのは在庫管理だ。売れるだろうと思い、大量に買い付けたが、思ったように売れなかったモデルは倉庫代がかかるだけ。ならば眼垢が付く前に、ギリギリまで値を下げて売ってしまえと言うことになる。

加湿器もラインナップ

スタン加湿器。リビングにおいても違和感がない。STAN. のデザインは汎用性が高いことがわかる

 また2025年には、非キッチン系の家電である「加湿器」がラインナップされる。象印の加湿器は「スチーム式」。その構造は、電動ポットに似る。衛生的な方式だが、電気代がかかるという欠点を有する。

 最近は厚生省が、感染症防止のため加湿器を使って欲しいとアピールしながら、カビの発生などを防止するために、頻繁に洗浄して欲しいなどとしている。

 象印のスチーム式の加湿器は、電気代こそかかるが、衛生度、洗浄のし易さではトップモデルと言って良い。本業である、「魔法瓶」の家電版の「電動ポット」。それを応用したものなので、勘所は十分掴んでいる。

 スタンで商品化したのは、2019年スタン発売当初からリクエストがあったからだと言う。

象印・堀本  スチーム型が、スチームが出るところまでお湯を沸かすため、電気代では不利ということは私どもも十分承知しております。しかし、使い勝手、特にお手入れというところに視点を当てるとどうでしょうか。それまで電動ポットなどで培った知見が十分活用でき、ユーザーへの負担を軽くしております。水を使う家電の場合、指摘されるのは、細菌繁殖によるぬめりとミネラルの石灰化です。スチーム式加湿器の場合、細菌繁殖の心配はないですが、長期に渡り使うと石灰化したミネラル分を落とすため、クエン酸で洗う必要があります。これは電動ポットも同じ。この洗浄を楽に行えるよう、象印の電動ポットを工夫(専用の洗浄剤「ピカポット」もご用意)しており、ユーザーにも高く評価されています。「電気代以上に魅力的」と、ユーザーさんからコメントをいただいております。

 これからもスタン、継続しますのでご期待ください。


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