秋篠宮家の長男、悠仁さまの成年会見と筑波大学進学、さらに、三笠宮家の彬子女王殿下のご著書『赤と青のガウン オックスフォード留学記』など、このところ皇室のご学業のことが話題になる。今後、プリンスの留学の話も出てくることであろう。そこで、王族の留学事情について少し記しておく。
王族の子女にとっての発達課題
こころの発達の観点から見ると、王族の心身の発達は、人間一般の課題に加えて、庶民と異なる境遇特有の課題を含んでいる。
子どもは一般に、物心ついたときから、周りの人々をロールモデルにして成長していく。特に、自分と同世代の子どもたちや、少し上の子どもたちの存在は重要であり、幼稚園や小学校で彼ら・彼女らの話し方、ふるまい方、考え方を見て、それをまねして育んでいく。その点は、王族の子女も同じである。
ところが、王族の子女は、あるとき「自分の家は他の家と違う」「自分の育ちは他の子とは違う」ことに気づく。「自分の将来は、決められている。他の子のように自由には選べない。しかも、国の代表としての責任を課せられる」ということもわかってくる。しかし、見渡せば、周りにはロールモデルになる人はいない。
もちろん、家族・親族は、王族としてのふるまいについて教えてくれる。しかし、思春期・青年期を迎えれば、そうでなくても、父とは違う生き方、母とは違う生き方を求めるものであり、王族としてのあり方を親とは異なるところに探したくなる。そうなるとロールモデルを他国の王族のなかに見出そうとする。