医療神話の終焉―メンタルクリニックの現場から
うつ病による休職や子どもの引きこもり、減らない自殺――。精神疾患が起因と思われる社会課題に対し、日本人が医療を神聖視し、助けを求める機会は多い。しかし、医療が解決できる部分は限られている。人間として何ができるのか。メンタルクリニックの現場から伝えていきたい。
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2025/12/04 井原裕「休職ビジネス」に会社は翻弄されてはならない。それは何よりも社員のためである。社員を救い出すためには、親心をもって社員を説得する必要がある。そのために会社が産業医・精神科医に何をさせるべきかを考えたい。
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2025/10/23 井原 裕前日まで出勤していた社員がある日、突然「〇〇障害につき、3ヵ月の休職を要する」とだけ書かれた診断書を提出し、会社に来なくなる。これにどう対応するか。結論は、会社は、休職を認めなくてもいい。何をすべきなのか。
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2025/09/25 井原 裕メンタルクリニックによる一枚の診断書に翻弄されて、必要を超えた長い休職を複数出してしまっている会社が出てきている。メンタルクリニック休職診断書の問題は、社会の根幹を揺るがす脅威となりえる。そのリスクに気づくべきは、経営者である。
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2025/09/08 井原 裕筆者は精神科医であるとともに、産業医としても活動し、産業保健総合支援センターにもかかわっている。企業の人事総務担当者からメンタル系休職に関する相談を受けることも多い。担当者が不信感を抱いているのがメンタルクリニックからの謎の診断書である。
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2025/07/17 井原 裕参議院選挙の投開票を控え、SNS上ではすでに熱気を帯びた言論戦が展開されている。この言論の舞台が、理性的な市民社会の基盤を広げているのか、それとも、「衆愚の広場」と化しているのか、問い直すべき時期に来ている。
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2025/05/20 井原 裕退職代行という事業が広がる今の日本において、メンタルクリニック発行の診断書が、労働者の休職手段として用いられることが常態化している。「診断書即日発行」といった広告を掲げるクリニックも目立つが、これは刑法への挑戦とも言える。
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2025/04/25 井原 裕永遠の別れの前に、最愛の家族に美しい言葉を遺し、感謝の気持ちを伝えて、旅立つ。日本人の心にある理想像だろう。だが、精神科医として見る現実は、必ずしも美しく最期を迎える人ばかりではない。
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2025/03/31 井原 裕悠仁さまの成年会見と筑波大学進学、三笠宮家の彬子女王殿下のご著書『赤と青のガウン オックスフォード留学記』など、皇室のご学業のことが話題となっている。今後、プリンスの留学の話も出てくることであろう。そこで、王族の留学事情を見てみたい。
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2025/02/22 井原 裕元タレント・中居正広氏の女性トラブルに端を発したフジテレビの混乱が連日のように民放のワイドショーで報道される。その一方で、NHKでは、日曜午後8時に、吉原を舞台とした大河ドラマが放映される――。この矛盾を、どう説明したらいいのか。
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2025/01/15 井原 裕2024年に発生した悠仁さま東京大学進学反対オンライン署名活動は、仄聞するところによれば、1万2000筆の署名を集めたとされる。これは、悠仁さまが学校推薦型選抜を利用して東大入学を目指すとの憶測で根拠はない。これは、一種の集団精神病理現象…
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2024/12/16 井原 裕精神科医の筆者のもとに、いじめ防止対策推進法に言及した診断書を求めて、各地から外来が訪れる。法律家ではない医師による診断書一枚が状況を変えるためであり、この事実は学校という組織の闇に慄然とせざるを得ない。
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2024/11/21 井原 裕弁護士は最高スペックの頭脳の持ち主であり、法の論理を展開できる。ただし、これはコンディションがいい場合である。頭に霧がかかったような「ブレイン・フォグ」となれば、論理は頓挫する。ひどい場合、数日、数週間、このような状態に陥ってしまう。
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2024/10/16 井原 裕孤独死は、ことさらにその悲劇性が強調される。多くの場合、周囲に誰もいない淋しい最期として報道され、現代社会の闇のように扱われる。ただ、忘れてはいけない。孤独死することができる人は、死の直前まで自立していた人だけという事実である。
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2024/09/17 井原 裕コロナ後遺症の患者は、精神的に打ちひしがれている。倦怠感が強く、思考力・集中力を奪われ、絶望的な気持ちでいる。そもそも人に理解されていない。医師たちも腰の引けた対応である。
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2024/08/14 井原 裕パリ五輪で日本人選手は多くのメダルを獲得し、躍進した。そのアスリートたちの言葉に注目が集まるが、試合の前は競技に専念したい。試合の後は、休んで、眠って、次の競技に備えたい。試合の前と後のインタビューは負担でしかない。
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2024/07/26 井原 裕京都アニメーションのスタジオを放火し、36人が死亡、32人が重軽傷を負った事件で、京都地裁は被告に死刑を言い渡した。国民感情からすればもっともな判決であろうが、精神鑑定医の立場からすれば、精神鑑定と司法の溝を感じるものだ。
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2024/06/17 井原 裕おとなになった知的障害者の親御さんたちの苦悩は、周囲に理解されにくい。最も親御さんを悩ませるのが、強度行動障害と呼ばれるものである。独力での対応は難しく、医師に頼むことになる。何が必要なのか。
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2024/05/16 井原 裕「うつの8割に薬は無意味」と言われると驚くかもしれないが、うつの諸症状が「ほとんど1日中、ほとんど毎日」出現する人でもそのような研究結果が出ている。精神科医が減薬・断薬の進め方を解説する。
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2024/05/14 井原 裕「職場のうつ」は、診察室で起きているのではない。職場で起きているのである。したがって、診察室で「治療」と称するごまかしを試みても、何の解決にもならない。
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2024/04/17 井原 裕いじめ防止対策推進法は、実によくできている。眠らせておくには惜しい。いじめの防止に関わるすべての職種が、その目的のために使えばいい。児童・生徒とその親御さんにおかれては、精神科医をもっと使ってほしい。「法と医者は使いよう」だ。
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