ウォールストリート・ジャーナル紙の3月24日社説が、トランプ大統領のお気に入りでウクライナ和平交渉を担当するスティーブ・ウィトコフ特使は、ロシア側に言いくるめられている、と批判している。要旨は次の通り。
トランプ政権のウクライナ和平交渉の特使、スティーブ・ウィトコフは「自分はウクライナ戦争の終結を仲介する中でどちらか一方の肩を持つようなことはしていない」と述べた。しかし、最近のポッドキャスト・インタビューの中で、彼は次から次にロシア側の主張をおうむ返しした。
同インタビューの中でウィトコフが示した最大の愚かな間違いは「プーチンは欧州を侵略したいとは100%思っていない」という主張だろう。彼は、ロシアはウクライナでさえ、既に占領している広大な地域を除いて支配したいとは思っていない、と示唆した。
「なぜ彼らはウクライナを吸収したいなどと思うだろうか」とウィトコフはロシア人の心情を推し量った。ウィトコフはロシアの歴史やプーチンの経歴について何か少しでも知っているのだろうか。
ジョージアやモルドヴァ、とりわけバルト諸国はみなプーチンが長年提唱する大ロシア帝国再興の意図に脅かされている。ジョージアは2008年にロシアに侵略され、領土の一部を奪われた。ウクライナは、ベラルーシと同様、親ロシア政権を押し付けることが出来たら、占領する必要はない。ソ連は東欧を40年以上も支配した。
ウィトコフが引っ掛かったロシア側のもう一つの主張は、14年にプーチンが併合しようとした東部ウクライナに関わる。ウィトコフはこれらの地域について、「住民はロシア語を話す」、「国民投票が行われたが、圧倒的多数の人々がロシアの支配を望んでいることを示した」と言った。