2025年4月17日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年4月8日

 しかしこの社説が言うように、これらの地域から自由なウクライナ地域に逃げたウクライナ人を勘定に入れず、占領下で行われた国民投票に意味があったとウィトコフが考え、停戦ラインを引くことには、おそらくウクライナは同意しないのではないかと思われる。

 ソ連邦崩壊の時に独立国家となったロシアの隣国には、多くのロシア人が居住している。例えばカザフ共和国の北部には多くのロシア人が居住している。

 ウクライナの領土の処理の仕方はここにも影響を与える。この社説にはロシアが傀儡政権をその国内で作っているジョージアとモルドヴァの例が挙げられている。

外交に影響を与えうるウィトコフ

 欧州諸国は、ウィトコフのロシア寄りの姿勢に強く意見することが必要だろう。そうしないと、米欧の同盟関係は取り返しのつかない打撃を受けることになると思われる。

 なお、ウィトコフは1957年生まれで67歳、不動産関係の弁護士から不動産業を起こし、大きな不動産企業を作り上げた人で、トランプとよく似た経歴を持つ人である。トランプの信頼は厚い。取引重視の人で、トランプに似ていると言われる。

 彼はウクライナ問題のほか、中東特使もやっており、ガザ戦争の問題も彼が担当している。米外交に大きな影響力を持ち、ルビオ国務長官を超える役割を果たしているかに見える。

 
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