2025年4月15日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年4月9日

 トランプの態度が不安視される中、安全保障に関する台湾の報告書は、台湾が米国との安定した関係を求めていることを示していると、2025年3月18日付ウォールストリート・ジャーナル紙は解説記事で述べている。

(ロイター/アフロ・dvids)

 トランプ大統領は中国の攻撃から台湾を守ってくれるのか、不安がくすぶる中、台湾軍は、台湾の安全にとって米国の支援は不可欠だと述べ、米国との安定した関係を望んでいることを示した。

 台湾防衛部は新たな「4年毎の国防計画の見直し」(QDR)の中で、台湾は米国製装備品の購入に長年頼ってきたと述べると共に、情報・監視、長距離精密攻撃能力の確保等について米国の支援の有用性を強調し、「米国は極めて重要な戦略的パートナーであり、軍事協力で我々と緊密に連携し、我々の自衛能力の向上を助けてくれる」と述べている。

 QDRは政策の方向性を示すもので、新総統の就任の度に最初の年に発表される。米国との関係については、2021年のQDRで初めて若干の言及があったが、今回は一章を割いている。

 台湾防衛部の軍事計画概要は、複数レベルでの対中抑止という戦略は変わっていないものの、中国の能力は、サイバー戦争やドローン戦争に関する能力の向上も含め、変化したことを示唆している。中国は台湾を自国領土と主張し、武力行使による台湾掌握の可能性を排除せず、台湾に圧力をかけるべく、台湾周辺で度々軍事演習を行っている。

 台湾は中国がサイバー攻撃とともに陸・海・空・宇宙から攻撃してくるとみている。防衛省の報告書によれば、中国は迅速に侵攻してくる可能性も、台湾を封鎖して屈服させようとする可能性もある。台湾は、中国がそこまで行かないよう米国が中国を抑止し、必要なら介入することを今も期待している。

 最近、頼清徳総統と政府幹部は中国による台湾封鎖等、10以上のパターンの不測の事態について密かに机上の軍事作戦を行ったが、参加した安全保障当局者によれば、全てのシナリオで「同盟諸国の強固な支援と具体的行動」が含まれていた。台湾に批判的なトランプや側近たち(過去に、台湾は主権を中国に明け渡すべきだと示唆したイーロン・マスクもいる)の発言で、中国が攻撃した場合の米国の対応について不透明感が増している。


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