なお、トランプは大統領就任後には、中国による台湾武力侵攻の可能性などについての質問については「一切コメントしない」と発言するようになっている。
このような背景をもとにして、ウォ―ルストリート・ジャーナル紙が強調しているのは、米国の台湾に対する積極的関与の重要性である。中でも台湾国防部が最近公表した報告書は、台湾防衛についての台湾軍事専門家の見方を紹介している。
この報告書は明白に「米国は台湾にとって決定的に重要な戦略上のパートナーであり、緊密な連絡を通じて我々自身の自衛能力を高める」と記述している。そして、米国は高雄南部において、台湾の兵力に対して訓練や演習協力を行っており、昨年だけでも500回の交流があったという。
米国は、上記のようなトランプの台湾に対する否定的発言はあったものの、引き続き、国内法の「台湾関係法」(1978年成立)に基づき、台湾に対し、防御用の武器売却を行っていることは言うまでもない。
頼清徳が示す「4つの不変」
頼清徳総統は本年1月、国防予算をGDP比3%以上にすると発表した。頼清徳は「現在、台湾の国防予算はGDP比2.5%であるが、特別予算を編成する」と述べたと伝えられている。
中台間の往来についての頼清徳の基本的立場は、「4つの不変」に示されている。すなわち、①国家の主権を守る決意、②台湾海峡の平和と安定の現状を維持する決意、③対等、尊厳、健全、秩序のある両岸間の対話と交流の用意があるとの約束、④民主的で自由な生活様式を守り抜く意思、の4つが不変であることである。
なお、中国は、最近、頼清徳が、自分たちのことを「外国敵対勢力」と呼んだとして非難し、「台湾独立」は絶対に許容できないと猛反発している。

