2025年3月28日(金)

世界の記述

2025年2月14日

 米国のトランプ大統領が太平洋と大西洋を結ぶ中米のパナマ運河について「取り戻す」と就任演説から繰り返し発言している。マルコ・ルビオ国務長官も初の外遊先としてパナマを訪問し、パナマ運河への中国の影響を減らすよう要求した。

パナマ運河が米中外交の焦点となりつつある( searagen/gettyimages)

 なぜ、トランプ大統領やルビオ国務長官はパナマ運河への懸念を示すのか。そこには、パナマ運河の5つの港のうち2つを運営するHatchison Parts(ハチソン・ポーツ)という香港企業の存在がある。2020年に制定された香港国家安全維持法(国安法)によって1国2制度が形骸化しつつある影響が香港から約1万6000万キロ離れたパナマで露見する形となっている。

パナマとアメリカの複雑な関係

 パナマ運河は、事実上、アメリカが建設し、1914年に完成した。港にはアメリカ軍も駐留していたが、返還交渉が両国政府の間で行われ、アメリカが99年に主権を完全にパナマに返還した。

 2017年になるとパナマは、台湾との国交を断行し中国との国交を樹立。それに合わせて一帯一路に協力する覚書を結んだ。

 24年7月に就任したホセ・ラウル・ムリーノ大統領は、ルビオ国務長官との会談後「覚書の更新はしない」と発言。事実上の一帯一路から離脱することを明らかにした。その一方で、アメリカが主張する米船舶の運河の通行料を無料にするという件については強く反発するなど、パナマ運河をめぐる状況は不安定なものとなっている。


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