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世界の記述

2025年2月14日

パナマ運河を運営するハチソン・ポーツとは

 このパナマ運河内の2つの港を運営するハチソン・ポーツとはどんな会社か? これを知るには香港ナンバーワンの富豪である李嘉誠氏を知る必要がある。

 1928年に広東省で生まれた李氏は日中戦争の影響でイギリスの植民地であった香港に逃れた。ホンコンフラワーとして知られる造花で財を成した彼は、長江実業を創設して不動産業界に進出した。

 順調に成長した長江実業は、79年、イギリス人が創業者である香港企業、和記黄埔(Hutchison Whampoa)の株式を大量取得し傘下に収めた。李氏は2つの巨大企業を経営していたことになる。

 2015年、組織改編という形で、長江と和記を合併させ長江和記実業(CK Hutchison Holdings / CKハチソン・ホールディングス)を設立。傘下には、ハチソン・ポーツのほか、各種インフラ整備、家電量販店、スーパーマーケット、携帯電話会社、ラジオ局、電力会社、ドラッグストアなどを抱えており、香港経済に大きな影響を与える巨大コングロマリットとなっている。

 李氏はビジネスマンとしての嗅覚と相手との距離感が絶妙だ。中国政府と良好な関係を結び、中国本土へも長年、投資してきた。しかし、ここ約10年は中国へのビジネス割合を薄め、特にヨーロッパへビジネスをシフト。23年のCKハチソンの売上4616億香港ドルで、そのうち欧州が2317億香港ドルと約半分を占める。

 CKハチソンの傘下企業である、ハチソン・ポーツは1866年に設立した会社で、造船やメンテナンスサービスを行う企業。その後、コンテナなども取り扱うなど事業を拡大させ、現在、世界24カ国・地域にある53の港を運営している。

 パナマ運河でハチソン・ポーツは、パナマ政府の認可を受け、大西洋側はクリストバル港を、太平洋側ではバルボア港の運営を1997年から行っている。また、自動更新条項などにより2047年までは運営権を所持している。


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