2025年4月9日(水)

Wedge REPORT

2025年4月1日

 かつて「創薬大国」と呼ばれた日本が今、革新的新薬の創出に苦戦している。米商務省国際貿易局によれば、「新しいモダリティー(創薬技術)領域で開発された日本のバイオ医薬品の世界シェアは約3%にすぎない」という。

日本の優秀な創薬プレーヤーの力を生かすには、国による環境整備が急務だ(MF3D/GETTYIMAGES)

 2000年代頃まで、世界の医薬品の主流モダリティーは日本が得意とする化学合成技術を用いた低分子化合物(錠剤)だった。しかし昨今、幅広い疾患ニーズに対応するため、抗体医薬や核酸医薬など最新のバイオテクノロジーを活用したバイオ医薬品の需要が高まっている。

 経済産業省の資料によると、25年には世界の医薬品売上市場におけるバイオ医薬品の占める割合が、約4割に上るとされる。コロナ禍で国内製薬企業発のワクチン創出が遅れたことは記憶に新しいが、日本は〝創薬のパラダイムシフト〟に乗り遅れてしまった。

 さらに、毎年のように薬価が切り下げられることで日本の医薬品市場の魅力度は低下しており、海外の製薬企業が日本で臨床開発を行わない〝日本素通り〟が起き、海外発の新薬が使用できないという「ドラッグ・ロス」も発生している。

 様々な課題を抱える日本は、今後巻き返しを図ることができるのか。現在地を追った。


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