2022年11月27日(日)

Wedge REPORT

2022年7月29日

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医療の担い手として、薬剤師はこれまで以上に重要な存在となるだろう (THE ASAHI SHIMBUN/GETTYIMAGES)

 「薬を受け取るだけで済むため、受診の負担も少なくなった。しかも、薬剤師さんが体調を確認して服薬量の調整に関する相談に乗ってくれるので、安心して治療を受けられている。リフィル処方に切り替えて良かった」

 こう語るのは千葉県に住む70代男性の高血圧患者だ。元々、月1回受診し、1カ月分ずつ処方を受けていたが、症状は安定していたため、医師の提案でリフィル処方へ切り替えたという。

 リフィル処方箋は簡潔に言えば、一定期間、繰り返し使える処方箋のことで、2022年度診療報酬改定によって、4月から新たに導入された。通常、医師の診察によって発行された処方箋は薬と引き換えに回収されるため、使用は1回限りだが、この制度では1回の診察で発行された処方箋を最大3回まで繰り返し使用できる。

 適用は冒頭の男性のような、症状が安定している患者に限られるため、高血圧や高脂血症などの慢性疾患が主な対象となる。症状に変化が乏しいにもかかわらず常用薬をもらうために毎回診察を受ける、いわゆる〝お薬通院〟をしている一定数の患者にとって、リフィル処方により通院回数が減れば、身体的・経済的負担が軽減される。

リフィル処方箋は3回まで繰り返し
使用できるため、通院負担が減る

(出所)各種報道を基にウェッジ作成 写真を拡大

 それだけではない。診療報酬改定では、リフィル処方による再診の効率化によって、単年度で医療費470億円程度の削減効果を見込む。財務省のある幹部は「高齢化などによって毎年増加傾向にある医療費を効率化する効果が期待される。厚生労働省などにおいて10年以上前から議論を続けてきた積年の課題であった」と語る。

 ようやく始まった新制度だが、好スタートを切ったとは言い難い。日本保険薬局協会と医療制度検討委員会による導入後約2カ月の調査では、8割以上の薬局がリフィル処方箋の取り扱い実績がない。適用できる条件が限られているとはいえ、リフィル処方箋の受付回数割合は処方箋全体のわずか0.053%にとどまる。

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