2025年3月26日(水)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2025年2月10日

 2月8日深夜(日本時間)、石破茂首相とトランプ大統領による日米首脳会談がホワイトハウスで行われた。大統領就任以後、イスラエルのネタニヤフ首相に次いで二人目の対面での首脳会議とあって日本側では期待感も大きかったが、石破首相にとって米国大統領との初の首脳会談であり、経験豊富なビジネスマン出身で既に大統領を一期務めた経験もあるトランプ大統領と就任から半年経っていない首相がうまく渡り合えるのか不安視する向きもあった。しかし、無理難題を飲まされるようなこともなく、また会談自体も終始和やかなうちに終了し、日本のメディアはおおむね及第点をつけているように見える。

日米首脳会談で、米国はトランプ大統領の何に注目していたのか(Abaca/アフロ)

 日本のメディアの多くはこの首脳会談を2月8日朝のニュースのトップで伝え、中には特集を組む局もあった。では米国の受け止め方はどのようなものだったであろうか。

米国内の問題を質問する記者、答えるトランプ

 一言でいうと、あまり関心は高くなかったようである。米国内の関心は、米国国際開発庁(USAID)の閉鎖といった、イーロン・マスク氏のチームによる公務員の大量解雇や、同氏のスタッフによる財務省のシステムへのアクセス許可の問題などに集まっており、この日も、省まるごとの廃止が取りざたされている教育省の建物に、民主党の議員らが入館を拒否されたニュースなどが注目されていた。

 首脳会談はホワイトハウスの大統領執務室で行われた。石破首相とトランプ大統領が暖炉の前の椅子に腰かけ、ソファー席には、バンス副大統領やヘグセス国防長官、岩屋毅外務大臣など側近が座っていた。

 通常なら首脳が少し言葉を交わしてそれを記者団が撮影すると、会談参加者以外は追い出されるが、今回トランプ大統領は、いつまでたっても記者団を外に出さず、カメラの前で多くの質問まで受け付けた。その時出る質問は、本来なら日米首脳会談の場であるので、日米関係絡みであるはずだったが、記者団の質問の多くは、日米関係とは直接関係のないものであった。

 例えば、4年前の1月6日の議会乱入事件の捜査に関わった連邦捜査局(FBI)の職員を大量解雇するのかといった質問がなされたが、大統領は動じることなく、また日米首脳会談だからとそのような質問を遮ったりせず、質問に対して自説を展開するなどして答えていった。

 なかでも関心が高かったのは、やはりイーロン・マスク氏に関してで、ちょうど『タイム』誌の表紙にマスク氏が「レゾリュートデスク」に向かって座る写真を掲載したことについて何か思うところがあるかという質問が飛び出した。このレゾリュートデスクというのは、英艦レゾリュート号からその名がある。


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