2025年1月8日(水)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2025年1月7日

 国土交通省は2024年6月28日、「官民物流標準化懇談会 パレット標準化推進分科会」の最終とりまとめを公表し、物流の際に荷物を載せる台であるパレットの標準仕様として平面サイズが1100ミリメートル(mm)×1100mm、高さが144~150mm、最大積載重量が1トン(t)のいわゆる11型パレットを主な規格とする旨発表した。

日本のパレットはどうあるべきなのか(1933bkk/gettyimages)

 その2年前の22年6月、同省は、同分科会の中間とりまとめにおいて、ヨーロッパの現状およびアジアとの輸出入の増大を背景として、1200mm×1000mmのパレットがJISユニットロードシステム通則に追加されたことに言及しつつも、日本で最も多く生産され、かつ物流施設で最も多く利用されているパレットが11型であるとし、同パレット規格を標準として推奨しており、最終とりまとめはその方向性を受け継いだものである。

 そこで今回は、パレット発祥の地である米国や、最大のパレット利用地域である欧州、そして近年パレットの普及が著しい中国のパレット運用の現状を眺めつつ、日本の11型パレットの将来的展望を占ってみることとしたい。

荷役機器や輸送機器の発達と共に標準化されてきた欧米のパレット

 まずは、欧米におけるパレットの歴史の概要を、下表をもとにたどってみたい。

 20世紀に米国で発明された当初、フォークリフトは、現在の電動パレットジャックのようなバッテリーを搭載し電動で荷物を運搬できるローリフトであった。その初期型フォークリフトで貨物を搬送する時に用いていたのが底面に板が無いスキッドだったが、フォークリフトを現在のような一度に多くの荷物を積み降ろしするハイリフトへ変化させていく過程で、底板を備えてより荷役の安全性が確保されたパレットに発展した。

 20世紀初頭から半ばにかけて米国でトレーラーが普及すると、それまで業界ごとに規格がばらばらだったパレットのサイズは、トレーラーのサイズに適合した48インチ×40インチ(1219mm×1016mm)型に漸次標準化されていき、そのトレンドは現在も進行中である。


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