一方欧州では、米国で生まれたフォークリフトが立ったまま運転・操作するリーチフォークリフトに変化する等の発展を遂げる中で、鉄道車両に合わせた1200mm×800mm型がパレットの標準となったが、20世紀半ばに米国のトレーラーから発展したコンテナが世界に普及すると、そのコンテナに合わせた1200mm×1000mm型も一方の標準として、シェアを伸ばしていくこととなる。
加工食品専用から小売・消費財の標準となった米国のGMAパレット
実は米国でも、最初からパレットの規格が統一されていたわけではなく、加工食品業界(GMA : Grocery Manufacturers Association)は48インチ×40インチ型、乳製品業界は40インチ×40インチ型、飲料業界は36インチ×36インチ型等々、荷主業界ごとに異なるサイズ・仕様のパレットを使用していたのである。
しかしながら、消費財サプライチェーン最下流に近い小売事業者が、トレーラーのサイズに適合した48インチ×40インチ型のGMAパレットを利用し始めたことから、パレットの標準化は次第に動き始める。彼らの取引先である加工食品メーカー、飲料メーカー、日用雑貨メーカー等から納入された貨物のパレットへの載せ替えを防ぐために、小売事業者は、一般的にそれら各ベンダーに対して、貨物をGMAパレットに搭載して納入することを義務付けたため、業界の枠を超えて、48インチ×40インチ(1219mm×1016mm)型のGMAパレットが漸次標準パレットとして全米に普及していったのである。
その結果、上図が示す通り、48インチ×40インチ型のGMAパレットは、現在の米国において、圧倒的なシェアを有しているのである。
国際海上コンテナ輸送の発展で変化した欧州パレット市場
先述の通り欧州においては当初、鉄道車両のサイズに適合した1200mm×800mmのEUR-1型が標準とされていたが、コンテナ輸送システムの世界への普及と並行して、トレーラーからシャーシが外れて“箱”だけになったコンテナのサイズに適合した1200mm×1000mmとその幅・奥行きが入れ替わった1000mm×1200mmのパレットが普及した。
そして、1990年代になるとそれらのパレットが、下表の通りEUR-2、EUR-3として標準パレットとされたのである。
一般的に現在の欧州では、1200mm×800mm型パレットのシェアが70~80%、1200mm×1000mm型のシェアが20~30%と考えられているが、NX総合研究所が2022年に実施したヒアリング調査では、前者が約30%、後者が約60%、その他が約20%と回答した物流現場もあり、1200mm×1000mm型の普及が進んでいることが窺われる。