「カレーを最後までキレイにすくうことができるスプーンがある」
そう聞いて大阪・中之島の「graf studio」を訪ねました。カフェの他、grafがデザイン・製造した家具、セレクトした各種生活用品などが販売されています。grafは各種プロダクトデザインをするだけではなく、グラフィックデザイン、食や音楽、アートなどのイベントも企画します。様々な手段を使って「『暮らし』にまつわるあらゆる事柄に取り組む」ということで、自分たちのことを「クリエイティブユニット」と呼んでいます。grafの代表で、京都芸術大学の教授でもある服部滋樹さんに話を聞きました。
「私はブランディング=コミュニケーションデザインを専門領域の一つにしています。この連載タイトルにあるように『物語』がとても大事だと考えています。かつては『物が語っていた』。つまり、物ができるまでのプロセスを分かっている人が、その価値を理解して物を買っていたわけです。今はワンクリックで何でも買えてしまう時代ですが、プロセスを知らないことが多い。だから『物を語る』必要があるのです。それは単なるハウツーではなく、そのプロセスを楽しく語ることなのです」
なんと、この連載コンセプトをズバリ、言葉にしていただきました。