2024年12月12日(木)

プーチンのロシア

2024年12月10日

 ロシア通貨のルーブルは、この秋に米ドルに対して下落を続けていたが、11月の下旬にそれが一気に加速した。ロシア中央銀行が設定する公式レートは、11月1日の時点では1ドル=97.0ルーブルだったが、11月20日に100ルーブルの大台を割り込み、11月29日には109.6ルーブルをつけた。

ルーブル安が続いているが、ロシア経済は衰退へと進むのか(写真はイメージ、Torsten Asmus/gettyimages)

 ルーブル・レートは、2022年2月のウクライナへの全面軍事侵攻開始を受けて暴落し、同年3月11日には1ドル=120.4ルーブルまで落ち込んだ。今般記録されたのは、それ以来のルーブル安水準である。

 12月に入り、ルーブル・レートの下落には歯止めがかかり、若干持ち直している(図1参照)。それでも、為替に生じた突然の急変に、「いよいよロシアも制裁に耐え切れなくなり、経済が崩壊し始めたのか?」といった憶測が広がった。

秋口から進んでいたルーブル安

 11月下旬のルーブル・レート急落の背景として、今年秋からずっとルーブル安の地合いが続いていたことを理解しておく必要がある。

 一般的に、為替市場の基調を決める要因の一つは、貿易収支である。24年秋に進んだルーブル安に関しても、一部の専門家は、主として貿易収支に起因するものだと説明している。BCSという投資会社のレポートでは、ロシアの輸出が数量・金額ともに不振に陥り(制裁と国際価格の低迷が原因)、他方で輸入が盛り返したため、ルーブル安に繋がったとの分析を示している。


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