2024年11月21日(木)

プーチンのロシア

2024年10月17日

 中国の習近平国家主席が「一帯一路」政策を初めて提唱したのは2013年9月だったから、すでに11年が経過したことになる。しかし、その成果が目覚ましく挙がったとは言いがたい。停滞しているプロジェクト、頓挫してしまったプロジェクトも多い。

中欧班列は着実に輸送量が増えているが、地政学リスクと常に隣りあわせだ(新華社/アフロ)

 そうした中、「中欧班列」は数少ない具体的な成果と言える。中欧班列とは、中国と欧州を結ぶ鉄道コンテナ定期輸送サービスである。その運行が開始されたのは11年3月であり、13年に習主席が一帯一路政策を発表する以前から始まっていたことになる。それでも、この輸送サービスが、アジアと欧州を輸送回廊で結ぶという新シルクロードの理念に適い、そして実際にその輸送量が急拡大してきたことから(図1参照)、一帯一路のシンボル的なプロジェクトと位置付けられるようになった。

 その運行本数は、24年5月に累計9万便を突破した。これを受け中国外交部報道官は、中欧班列は一帯一路の旗艦プロジェクトであり、名実ともにアジア~欧州貿易の「ゴールデンルート」となったとコメントした。

 今年に入ってからも伸びは続いており、24年1~8月の列車数は1万3056本(前年同期比12%増)、輸送量は134万TEU(同11%増)を記録している(TEUは20フィート標準コンテナに換算した単位)。

中欧班列の概要

 11年3月に運行を開始して以降、中欧班列の輸送ネットワークは拡充されてきた。一帯一路10周年に際し中国政府が23年10月に発表したレポートによれば、中欧班列は現在86路線で構成され、欧州25ヵ国の200都市以上への便を有している。自動車、機械設備、電子製品などを中心に5万種類以上の商品が輸送され、運ばれた商品の総額は3000億米ドルを超えた。

 中欧班列は、その主要部分がカザフスタン~ロシア~ベラルーシを経由する。その際に、中国と欧州の鉄道の軌道は標準軌(1435mm)、旧ソ連のそれは広軌(1520mm)なので、中国・カザフスタン(またはロシア、モンゴル)国境、ベラルーシ・ポーランド国境で、台車の交換作業が行われる。


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