9月5日付けニューヨーク・タイムズ紙は、油価の低下に対して油価を高止まりさせたいサウジアラビアが主導して石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は自主減産の継続を決定したが、アラブ首長国連邦(UAE)やイラクのような他のメンバー国は増産している、という解説記事を掲載している。要旨は次の通り。
9月5日、OPECプラスで知られるサウジアラビアをはじめとする7産油国は、油価低下の強い圧力を受けて生産削減を少なくとも12月まで延長した。OPECプラスが200万バレル(B/D)以上の生産削減を停止するという6月の発表を撤回したのは油価の維持を意図しているが、国際的な油価のベンチマークである北海ブレントは、7月以来、15%低下し、72ドルとなっている。
専門家は、油価の低下は中国の需要が弱いこととブラジル、カナダ、ガイアナ、米国等のOPECプラス以外の産油国が増産を続けているためだとしている。
専門家は、サウジアラビアが主導する減産計画はUAE他の産油国が増産を続けているために市場の信用を一層傷つけていると見なしている。総量でOPECプラスは、500万B/Dの減産、言い換えれば5%の生産削減を行っており、もし、この生産量が市場に戻れば、油余りは確実となる。
生産拡大を遅らせる(減産を継続する)のは、このようなネガティブなセンチメントを変化させることを意図している。しかし、この賭けが成功するかはやってみなければ分からない。
市場は、OPECの事実上のリーダーであるサウジアラビアは難しい立場にいる、と見ている。サウジアラビアの石油大臣であるアブドゥルアジーズ・ビン・サルマン王子は、困難な環境下でバランスを取りながら何カ月もの間、油価を相対的に高止まりさせてきた。しかし、ほとんどの他の産油国は別の思惑を持っている。