2025年3月23日(日)

お花畑の農業論にモノ申す

2025年3月21日

 ホワイトハウスのレビット大統領報道官が記者会見で、「日本は(米国から輸入する)コメに700%の高関税を課している」と名指しで批判した。これに対し林芳正官房長官は、ミニマムアクセス(最低輸入量)が一定量無関税であるのに加え、そのほかの輸入米も1キログラム(㎏)当たり341円の関税になっていると反論した。

ホワイトハウスのレビット大統領報道官が日本のコメについて「700%の関税がある」と批判した(AP/アフロ )

 ミニマムアクセスを超えた輸入米に対する日本の関税は、2005年の世界貿易機関(WTO)交渉時に当時のコメの国際価格を基に実質的な関税率を778%と計算していたものの、現在のコメの国際価格の上昇により関税率は既に大幅に下がっている。レビット大統領報道官の発言は事実誤認と言えるのだが、これはトランプ政権下でコメに対する関税が今後引き下げられる可能性を示唆していることでもある。

 一方、日本政府は、コメの輸出量を24年の4.5万トンから、30年までに約8倍の35万トンとする目標を定める方向で調整しているという(「日本農業新聞、朝日新聞」)。

 「日本のコメの味は世界一」と、日本でよく言われているが、その「世界一」のコメが海外で売れ、海外産のジャポニカ米(以下短粒種)と競って戦えているのだろうか?

 昨今の日本国内でも米不足を背景に、海外産のコメが日本の市場に入り出している。筆者はこの2年間、東南アジアのコメ消費の現場を見てみてきたが、そこでは短粒種の日本産米がすでに他国産の短粒種との厳しい競争にさらされている。海外で起きていることが国内でも起きるのではないかと危惧される。

 そこで、2月末にオーストラリアのメルボルンを訪問し、見てきたコメの消費の一端をレポートし、今後のコメ生産について考えてみたい。


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