江藤拓農林水産大臣が2月14日、閣議後の記者会見で政府備蓄米放出の販売数量について「21万トン(t)」という具体的な数量を示し、状況を見てさらに放出する可能性を示唆した。週明けの17日には、農水省が全農系統や全国主食集荷協同組合連合会(全集連)といったコメの集荷業者等に政府備蓄米の買戻し条件付売渡しについて説明会を開催した。

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政府備蓄米の売却は5000t以上の集荷業者を対象として入札方式で行われ、初回は15万t(令和6年〈2024年〉産10万t、5年〈23年〉産5万t)で4月末までの売却を終わらせる予定。農水省が具体的方針を示したことにより、いよいよ政府備蓄米が市場に放出されることになった。
これによりコメの価格高騰は収まり、流通は正常化するのか? コメ業界のみならず一般消費者、コメの需要者もそのことに強い関心を寄せているが、コメの卸や集荷業者など業界関係者を取材すると必ずしも現在の混乱が収束するとは見ていない。
その一方で、国のSBS(売買同時契約)と呼ばれる入札制度の枠で輸入された外国産米に加え、1キログラム(kg)当たり341円の関税を払って輸入されるコメが4月から大量に入って来ると予想され、外国産米取り扱い業者には外食・中食だけでなく、ディスカウントショップやホームセンター、薬局などの小売からも問い合わせや引き合いが入っている。4月ごろから店頭に並ぶようになれば、結果的に「令和のコメ騒動」は国産米の需要が外国産米に奪われたという結末になりかねない。