2024年12月7日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年11月7日

 2024年10月16日付のワシントン・ポスト紙で、同紙コラムニストのウィルが、ロシア、北朝鮮、イラン、中国と欧米の間で第三次世界大戦は既に始まっているが、ハリスもトランプもそれに気付いていないと警告している。

(hameleonseye/vicnt/vadimrysev/rarrarorro/Georgiy Datsenko/gettyimages)

 思えば、第二次世界大戦は、日本、ドイツ、イタリアの枢軸国の合従連衡によって始まった危機の連鎖であり、1931年の日本の満州占領から始まったことは明らかである。後世の人は、第三次世界大戦はロシアが2022年2月にウクライナを侵略する前の14年のクリミア占領に始まったと結論づけるかもしれない。

 次期米国大統領は、25年1月20日以降、中国、ロシア、イラン、北朝鮮からなる今日の枢軸国に対処することになる。

 10月14日付フィナンシャル・タイムズ紙は、ドイツ情報機関が、ロシアの諜報員による 「攻撃的な行動 」が劇的に増えていることを説明する中で、ライプチヒのDHL貨物センターで、飛行機に積み込む前の小包が炎上した事件に触れ、もし飛行中に火災が発生していたら飛行機は墜落していただろうと述べたと報じた。

 ウォールストリート・ジャーナル紙によると、英国の国内安全保障機関MI5は、ロシアの軍事情報機関GRUによって計画された欧州での攻撃が「驚異的に増加」し、その狙いは、武器生産を妨害し、政治家を威嚇し、街頭でパニックを引き起こすことだと報告した。

 この夏、ウクライナの実業家が所有するロンドンの倉庫に放火した疑いで7人が英国当局に告発された。防空システムを製造するベルリンの工場で起きた火災の背後にもロシアの破壊工作員がいる疑いがある。フランスでは、2人の人物が200以上のダビデの星のシンボルを建物にスプレーし、検察がロシアとの関連を捜査している。バルト海や東欧では放火が相次いでいる。

 MI5は、ロシアとイランは、標的とする国の犯罪者を使って放火や破壊工作を行っていると述べた。イランの反体制派を支持するスペインの政治家が「昨年末、白昼堂々と顔面を銃撃された」と指摘している。

 北朝鮮の軍事技術者たちがロシアの弾道ミサイルを支援し、今月、ロシア領内でウクライナのミサイル攻撃によって複数の北朝鮮人が死亡したと報じられた。ロシアの兵器庫には北朝鮮のミサイルや大口径弾薬が貯蔵されている。


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