ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、ロサンゼルス近郊に購入した新居について、フジテレビと日本テレビが自宅の空撮や周辺住民へのインタビューなど、所在地や間取りがわかる報道をして問題となっている。批判を受けて、フジテレビでは港浩一社長が定例会見で正式に謝罪をするに至った。この新居報道だが、2つの大きな誤解がある。
発端とされるLAタイムズ記事への誤解
まず、自宅を特定した報道であるが、その発端は5月22日に現地の主要紙「ロサンゼルス・タイムズ(LAタイムズ)」が掲載した、ジャック・フレミング記者の記事にあるようだ。フレミング記者の記事は、大谷選手の新居について、グーグルアースが提供している3D化した衛星写真を紹介、更に購入金額、物件の特徴、そして売買にあたっては著名なDJから購入したという事実を紹介している。
この記事を見た日本の両テレビ局は、著名な新聞が報じているのだから、その内容は既に幅広く公開して構わないと判断した可能性がある。問題は、このLAタイムズの記事の性格だ。
この記事は実は芸能記事でもスポーツ記事でもない。不動産の市場動向に関する記事である。執筆しているフレミング記者は不動産市場に関する専門記者であり、あくまでカリフォルニアの不動産業界のニュースとして、著名人同士による高額物件の譲渡を紹介しているだけだ。
ちなみに、米国の場合は不動産が譲渡されて所有権の登記がされると、多くの州ではその登記内容はネットで公開される。従って、誰が売買に関わったのか、また売買額はいくらであったかも、そして具体的な物件の地番までも公開される。そして、公開された登記情報に従って、民間のネット不動産業者は全国にまたがって、不動産物件の「時価リスト」を公開している。