2024年12月25日(水)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2024年4月17日

 ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の銀行口座から、多額の金額をギャンブルの負債返済に流用した水原一平容疑者の事件では、12日に同容疑者が地裁に出頭した。またその直前に、連邦検事が会見に応じるとともに、内国歳入庁(IRS、日本の国税庁に相当)も捜査の経過を説明している。

 その結果、当初考えられていたよりも迅速に事件の概要が明らかとなった。連邦政府当局の掴んだ具体的な証拠からは、大谷選手自身は違法行為に関与していないこと、一方で水原容疑者の手口は極めて悪質であることが浮かび上がっている。また、水原容疑者が違法なものを含めたギャンブルで負けた総額は、当初報道されていたよりも巨額であることも明らかとなった。

大谷選手(右)が日本や米国のためにすべきこととは?(AP/アフロ)

 残る問題は、水原容疑者への量刑であるが、盗んだ金額の大きさから考えると最大限と言われる禁錮30年に近い内容になるという説がある。その一方で、違法ギャンブルや資金洗浄に関する捜査に有益な情報提供をしたことから、むしろギャンブル中毒の根治を目指す治療刑が主となり、厳密な意味での収監は免れるという説もある。

 こちらは、司法当局のさじ加減というよりも、水原サイドが罪状認否において有罪を認めて司法取引に応じたとして、その取引の推移による。現時点では、司法当局と弁護士が詳細な点に至るネゴシエーションを行っているようだ。報道によれば、水原容疑者は罪状をほぼ認めており、弁護士もこれを前提に交渉を進めているようである。

 一連の報道を総合するのであれば、事件の真相はほぼ解明されたと言っていいだろう。米国の一部にあった、「違法ギャンブルに参加していたのは大谷選手本人だ」という一種の陰謀論だとか、日本で囁かれている「究極の善人である大谷選手は水原の負債を補填してやろうとしたが、違法性が分かったのでストーリーを変えた」という説のどちらも、ほぼ100%否定された。連邦捜査当局は動かぬ証拠を根拠にしており、この流れが変わることはなさそうだ。

 では、この事件は一見落着かというと、そうではない。大谷選手の今後については、全く何もしないで良いということはないからだ。2つ提言をしておきたい。


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