アメリカとイスラエルによるイラン空爆が始まる直前の2月25日と26日、インドのモディ首相はイスラエルを訪問し、イスラエル国会で演説するなど、「真の友情」を示した。
イスラエルを訪問する首脳は、欧米を除くと、あまり多くない。しかもインドの首脳のイスラエル訪問も、過去、少なかった。モディ首相のイスラエル訪問についても、前は2017年で、今回を含めて2回しかない。
なぜモディ首相は、今、イスラエルを訪問したのだろうか。そこには、伝統的なインドとイスラエルの関係と、イスラエルをめぐる新しい状況の2つの背景がある。
インドとイスラエルの伝統的な関係
もともとイスラエルは、インドにとって、長期安定的な友好国である。インドは、パキスタンとの戦争を抱えていたから、イスラエルから見ると、イスラム教の国を相手にする点で、協力を深める候補であった。そのため、1971年の第3次印パ戦争では、両国には国交がなかったにもかかわらず、イスラエルからインドへ一方的に武器を送り付けて協力した(国交正常化後は99年のカルギル危機でも同じことが起きた)。
インドから見ると、これは複雑な問題であった。インドには「少数派」のイスラム教徒がいるが、当時、パキスタンの人口を上回る人数で、選挙での票田でもあった。だから、インドは92年まで、イスラエルと正式な国交を樹立しなかった。それでも、イスラエルからの一方的な友好のメッセージは続いてきたのである。
結果、92年の国交が樹立されると、インドとイスラエルの関係は、進展し始めた。イスラエルは、ソ連やロシアに代わり、インドにとって主要な武器の供給者になり始めた。そして、対テロ作戦、イスラム過激派に関する情報や戦い方の共有などでも利害が一致した。
そして、2014年にモディ政権が成立すると、関係はさらに急速に進展し始めた。モディ政権の与党インド人民党(BJP)は、ヒンドゥー至上主義団体を支持基盤としており、イスラム教徒からあまり人気がない。でも、モディ首相自身の個人的人気は強く、選挙で勝つための十分な支持者がいた。結果、モディ政権は、国内のイスラム教徒のことを気にせずイスラエルとの関係を強化することができるようになった。
