2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2024年5月31日

“「産まずして何が女性か」と上川陽子外相”

“出産したくても困難な状況にある人への配慮に欠けるとの指摘が出る可能性がある”──。

 2024年5月18日、共同通信から配信された記事である。上川外相が静岡市で開かれた女性支持者らが出席する集会で、静岡県知事選挙の応援演説を行った際、「一歩を踏み出したこの方を、私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と述べたことに対してである。報道は共同通信配信先である全国多数の地方紙にも広がり、上川外相は多くの批判を受けて発言を撤回するに至った。

上川法相の「うまずして」発言。メディアの報道にも問題がみられた(ロイター/アフロ)

 既に多くの記事で批判されているが、共同通信の報じ方は上川外相の発言の一部を恣意的に切り取り、それを論拠に「懸念」を示し批判を促す自作自演の「社会問題」創出、マッチポンプ・クレイム的な性質を持っていると言える。

 国際大学GLOCOM客員研究員で、フェイクニュース対策や情報リテラシーに関する情報発信を幅広く行っている小木曽健氏は、『あたかも上川氏が、出産しない女性は女性ではないと言い放ったように切り取り、早トチリな読者はもちろん、学者先生やジャーナリストまでが「差別発言だ」と反発したのです。あの……記事の中身はちゃんと読まれたんでしょうか?』と批判した。

 さらに、共同通信が当初の「産まずして」表記を後に「うまずして」に修正した事に対しては『今回、特に悪質だったのが、記事が掲載された当初は「うまずして」ではなく「産まずして」と意味を限定した表記にしていた点。(中略)この一蓮(原文ママ)の動き、実は「マルインフォメーション」と呼ばれる立派なフェイクニュース仕草なんですよ。フェイクニュースって、意図的なウソや勘違いによるデマのほかに「内容は事実だが、切り取りや誤った解釈・勘違いを誘引する表現」もマルインフォメーションというフェイクに分類されます』と続けた。

 著述家の加藤文宏氏は小木曽氏の指摘を踏まえ、「あれはマルインフォメーション(悪意ある情報)という指摘だが、ディスインフォメーション(意図的に作られた虚偽情報)と言えるのではないか」とさらに踏み込んだ。


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