2024年12月14日(土)

Wedge REPORT

2023年8月28日

・(ALPS処理水の)海洋放出はせざるを得ないと思う
・処理水の安全性は科学的に示されているし、第三者機関(IAEA)にもお墨付きを得ているのに、なぜ騒ぐの?
・処理水の放出反対を言い続けている人は、何か他の代替案はあるの?
・処理水の放出反対活動をするよりも、風評を起こさないような活動をして力を貸していただけないか?
・自然災害は防げないけども、風評被害は未然に防げるよね。
・風評が起こっ“たら”、等のたられば論で未来の不安を煽ることが新たな風評に繋がるであろうことにまだ気づかない?
・福島だけの問題ではなく、日本国全体の問題だと思う。だからこそ、みんなで手を取り合って前向きな発信しませんか?
・ふくしまの魚は「常磐もの」(じょうばんもの)と呼ばれており、最高に美味いです。
・東日本大震災直後は、福島沖で漁ができなかったので我々鮮魚店は、福島“以外”の魚を売るほかありませんでしたが、その時に気付きました。“やっぱ福島の魚ってうまかったんだな”って。

 2023年8月24日、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉と被災地復興に不可欠な工程であるALPS処理水(以下処理水)海洋放出が本格始動した。その前日、地元福島県浜通り地方で最大規模を誇る老舗鮮魚店「おのざき」4代目による冒頭のX(旧ツイッター)発信が大きな反響を呼んだ(※2023年8月24日PM14:50現在4786リポスト、401件の引用、1.3万件のいいね)。そのほとんどが県内外問わず発信を支持・応援する声で溢れていた。

(AP/アフロ)

 その前日には、同じいわき市内の「大川魚店」が処理水放出スケジュールの決定に際し「ついに決まりました。我々は、これからも引き続き、安全で美味しいお魚をお客さまに提供してまいります。全国の皆様、正しい判断で福島の魚を見守ってください。宜しくお願い致します。」と発信し、こちらにも沢山の応援(※同時刻1848 リポスト98件の引用、5407件のいいね)が寄せられている。

 これまで処理水を巡る福島県外の報道は、その多くが「放出反対」「風評への不安」を強調するもので溢れていた。

 それらは果たして真に当事者に寄り添い、問題解決に資するものだったのか──。報道の「フィルター」を通さず当事者から直接発信された声、そして寄せられた無数の応援の声は、それを強く問いかけるのではないか。

その「反対」は何のため、誰のためか

 処理水放出は大きな社会問題となり注目を浴びた。一方で、海洋放出によって新たな汚染が起こることはない。今や国際原子力機関(IAEA)や主要7カ国国首脳会議(G7サミット)が支持し、国際社会を見ても問題視するのは中国、ロシア、北朝鮮など特定の国とその影響下にある勢力に限られる。国内でも社会の理解は進み、各世論調査では放出賛成が反対を大きく上回っている。

 無論、漁業関係者などの一部を中心に放出に反対する声も根強いが、その理由は『汚染』ではない。あくまでも『風評』『地域や人への偏見差別』などが大多数を占めることがこれまでの複数の調査から明らかになっている(『処理水海洋放出で政府がアンケート 生産者の半数近く「風評を懸念」』『処理水問題:歪められたイメージと変えるべき事実』)。冒頭に紹介したメッセージも象徴的と言えるだろう。

 ところが、県外を中心とした反対運動は様相が全く異なる。中には処理水を『汚染水』呼ぶなど、当事者が最も懸念する風評と偏見差別を助長させかねない言動を繰り返したケースも少なくない。彼らの目的は何か。


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