トランプ米次期政権は来月20日スタートと同時に、1期目で果たせなかった「米国第一主義」政策を本格始動させる。だが、それが実際に、米国にとってどれほどの利益になるかは別問題だ。
多くが達成できなかった1期目の公約
「トランプⅡ」はまたも公約倒れに?――。トランプ第二次政権発足を前に、改めて第一次政権(2017年1月~21年1月)当時の実績評価にメディアの関心が集まっている。
「過去の歴代大統領とは異なり、私は必ず公約を守る」。トランプ氏は1期目の大統領就任後の「年頭教書」演説でこう大見得を切って見せた。
当時の「公約」の中には、①多くの保守派弁護士を各連邦裁判所判事に任命する②広範囲にわたる減税を実施する③メキシコとの国境に長大なコンクリート壁を建設し、費用はメキシコに負担させる④製鉄、石炭鉱業などの製造業を再活性化させる⑤公的医療年金制度「オバマケア」に代わるはるかに低額で上質の民間医療保険を設立する⑥諸外国からの移民を抑制する⑦国家債務を縮小させる⑦在イスラエルの米国大使館をエルサレムに移転させる⑧気候変動の国際取り決め「パリ協定」から脱退する、などが含まれていた。
これらのうち、①②⑦⑧については、それらが「アメリカ・ファースト」のスローガンが意図した国民の受益につながったかどうかは別として、公約通りの政策、措置が打ち出されたことは事実だ。
しかし、不法入国者防止のための国境壁建設については、メキシコと接するカリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサス4州にまたがる国境3120キロのうち、テキサス州内にわずか96キロの壁がトランプ政権の4年間に設置されただけだった。それも、土台だけがコンクリートでその上に鉄パイプを並べ立てたものが大部分を占めた。
しかも、選挙公約で「建設費はすべてメキシコに負担させる」と強弁したものの、メキシコ政府が応じなかったため、実際は米政府の臨時支出で賄われた。