2025年1月16日(木)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2024年12月11日

 米国首都ワシントンの連邦地裁判事は12月6日、2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件の参加者の一人であるフィリップ・グリロ容疑者に禁固1年の判決を言い渡した。グリロは、ベルトを外され収監されるとき、嘲笑して「どうせトランプが恩赦してくれる」と述べた。この捨て台詞がいよいよ現実のものとなる日が近づいている。

トランプ次期大統領は2021年1月6日の米連邦議会議事堂襲撃事件の参加者への恩赦を改めて表明した(ロイター/アフロ)

 2日後の日曜日、NBC放送の人気報道番組「ミート・ザ・プレス」において、ドナルド・トランプ次期大統領は、就任初日に議事堂襲撃事件に関与した自身の支持者たちを恩赦する、との公約を改めて表明した。議事堂襲撃事件では、1500人以上が起訴され、1000人近くが有罪とされ、600人以上が禁固刑を言い渡されている。

 大統領に当選した場合、議事堂襲撃事件で罪を問われた人々に恩赦を与えるというのは、トランプの選挙運動の重要な一部を占めてきており、選挙期間中繰り返し主張されてきた。トランプは彼らのことを「政治犯」とか「愛国者」と呼んで擁護し続けており、番組中で、彼らは「汚く、吐き気のするような場所に置かれている」と語った。

 当選後改めて恩赦することを全国放送の人気番組で明言したことになる。しかも就任初日から取り掛かるというのである。このようなトランプの宣言の背景には、もちろん先日バイデン大統領が息子に与えた恩赦がある。

巻き起こるバイデンへの批判

 12月1日にバイデン大統領が、次男のハンター・バイデンに恩赦を与えると発表したのに対し、トランプは、「ジョーがハンターに与えた恩赦には、何年も投獄されている1月6日事件の人質も含まれているのか?何たる権力の濫用、司法の誤り!」と投稿していた。

 バイデンが息子のハンターに恩赦を与えたことに対しては、批判が巻き起こっている。バイデンはその任期において恩赦を与えるのに寛大ではなかったことも人々が眉を顰める原因の一つである。

 ここ100年に限っても一期目の大統領が与えた恩赦の数を比較するとバイデンが最も少ない。また、減刑もほとんど与えていない。厳しい態度をとってきたにも関わらず、その任期の末期において息子には寛大な恩赦を与えるのかと諦めに似た感情を抱く人も多い。


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