光技術に強い米通信機器メーカーのCiena(シエナ)でグローバル戦略を担うラルフ・ロドシャット副社長は「IOWNを活用すれば、十分な電力供給があるところにデータセンターをつくることが可能になる」と強調する。
建設現場や倉庫・配送業が新たなユースケースに
さらに今回のダラス会議で新たに注目を浴びたのが、建設現場や倉庫・配送業などでIOWNを活用するPOCだ。超低遅延のAPNを利用することで建設機械を遠隔操作したり、建設現場に光回線を敷設して定期点検などを遠隔で行ったりすることが可能になる。また倉庫・配送業ではロジスティクスをネットワークでリアルタイム管理したり、AGV(無人搬送車)を正確に走らせたりすることができるようになるという。
IOWNグローバルフォーラムの責任者を務めるNTTの川島正久氏は「POCについては投資対効果をしっかりと見極めるテクノ・エコノミック・アナリシス(技術経済分析)の観点が重要だ」と語り、フォーラムの活動でも常にこうした観点からPOCを進めていると指摘する。
IOWNグローバルフォーラムはNTT肝煎りのプロジェクトだけに日本からは情報通信関連の企業だけでなく、様々なユーザー企業がメンバーに名を連ねている。今回、こうした様々なユースケースが登場したことにより、海外のユーザー企業からも強い関心が向けられ、米大手証券会社のモルガン・スタンレーなども新メンバーとしてフォーラムに参加した。川島氏は「IOWNはもはや日本の技術ではなく、グローバルに受け入れられつつある」と指摘する。
今回の中間メンバー会議では、大阪・関西万博でのIOWNの活用法も披露され、参加者から大きな関心を呼んだ。
IOWNグローバルフォーラムの活動は開始から5年半を迎え、折り返し地点を超えたスパート期間に入ったことで、今後はさらなるユースケースの登場が期待できそうだ。ダラス会議を機に米IT業界がIOWNに大きな関心を寄せたことで、そんな予感を強く感じるイベントとなった。
