米ラスベガスで1月初め、世界最大のハイテク見本市「CES2026」が開催された。米中摩擦やトランプ関税などの影響を受け、出展者数は約4100社・団体と昨年より1割近く減ったものの、来場者数は約14万8000人を数え、昨年を上回った。
今回は人工知能(AI)やヒューマノイド(ヒト型ロボット)、モビリティ、ヘルステックなどの技術が注目を集め、高齢化対策やエネルギー対策などから、「Longevity(長寿ケア)」や「Sustainability(サステナビリティ)」などが重要なキーワードとなった。現地取材をもとに「CES2026」から見えてきた世界の最新テック事情を読み解く。
「フィジカルAI」「インダストリアルAI」がテーマに
「電気やインターネットの登場が我々の生活を大きく変えたが、次の時代を再定義するのはAIだ。生成AIの登場が人々の生活や産業を激変する」。CESの開幕基調講演で、主催者である全米民生技術協会(CTA)のゲイリー・シャピロ最高経営責任者(CEO)が指摘した。
AIは2022年秋の「ChatGPT」の登場以来、CESでも重要な技術トレンドとなっており、今回の見本市ではAIが家電製品や住宅設備、産業機械、ヘルスケアなどすべての分野に入ってきたと強調、「AI Everywhere(至るところにAI)」が総合テーマとなった。
シャピロ氏の技術予測に続いて、ドイツの総合電機大手、シーメンスのローランド・ブッシュCEOが登壇し、自動車や鉄道、産業機械、医療機器など様々な分野でAIが新たな産業革命を起こすと訴えた。ブッシュ氏はこれを「Industrial(インダストリアル)AI」と名付け、「AIを活用するにはソフトウエア、ハードウエア、コンピューティング、データの連携が重要」だと指摘、シーメンスはそうした技術基盤で「デジタルツイン」を提供し、新たなデジタル産業革命の担い手になると述べた。
ブッシュ氏に呼応したのが開幕基調講演のゲストスピーカーに招かれた米半導体大手、NVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・ファンCEOだ。ブッシュ氏との対談で「エージェンティックAIの次はフィジカルAIが重要なカギを握る」と強調、生成AIで需要が急拡大したクラウド型のAIに対し、「今後はロボティクスやエッジ端末など現実世界とサイバー空間をつなぐフィジカルAIが広がる」と訴えた。
今回の見本市で最も人気者だったのがファンCEOだ。開幕前日に実施した自らの記者会見で、AIの将来や同社が強みとする画像処理半導体(GPU)の可能性について話したのに続き、初日のシーメンスの開幕基調講演にゲストとして登壇。その夜には中国Lenovo(レノボ)の楊元慶(ヤン・ヤンチン)CEOの基調講演にもゲストとして登場した。
実は中国出身のヤンCEOと台湾出身のファンCEOはパソコンメーカー経営者と半導体メーカー経営者として旧知の仲だ。ファン氏はヤン氏に対し「我々はこの世界で30年やってきたが、私が30代前半だった頃、あなたはまだ20代後半でしたよね」と親しそうに語り掛け、互いの同志関係を約2万人の聴衆を前に披露した。

