日本の大手企業が相次ぎ撤退へ
その意味では日本の代表的企業の撤退が目立ったのが今年のCESの特徴だったともいえる。昨年、斬新な電気自動車(EV)を発表して人気を呼んだホンダも今年は出展を見送り、昨年初出展して搬送型の自動運転EVで話題となったスズキも今年は出展を取りやめた。昨年はクボタが自動運転トラクター、コマツが水中無人探査ブルドーザーなどを展示し、日本製の自動運転農機や自動運転建機が話題となったが、残念ながらコマツは今年、出展しなかった。
コロナ禍での経験や高齢化社会を反映し、最近のCESではヘルステックやビューティーテック、エイジテックなどが注目されている。昨年はキリンホールディングスが塩分を控えるための電子スプーンを発表して関心を呼び、コーセーはMR(複合現実)技術を使った疑似メーク体験で話題となったが、今年は両社とも名前を見なかった。
国ごとのブースが集まるグローバル展示エリアに花王が小さなブースを設けていたものの、非接触で肌の弾力を測る技術で昨年「CESイノベーションアワード」に輝いた資生堂の展示も今年はなかった。ヘルステックは高齢化先進国の日本が海外展開できる戦略的分野といえるだけに、こうした撤退は残念としかいいようがない。
日本の大手企業がCESへの出展をやめた背景にはそれぞれ色々な事情があろう。しかし共通して言えるのはコロナ禍で広がった日本企業の内向き志向が今も続いているという点だ。そこに円安が追い打ちをかけ、近視眼的となった経営者がお金のかかる見本市への出展に二の足を踏んでいると考えられる。
部品メーカーや自動運転ベンチャーが存在感発揮
もちろん日本のプレゼンス(存在感)の向上に努めていた企業もある。ソニーの代わりにブースを構えたソニー・ホンダモビリティや、サステナビリティやヘルステックなどの新しい技術を掲げたパナソニック、昨年から出展を再開した日立製作所などだ。
自動車メーカーは1社もなかったが、小糸製作所や矢崎総業、アンリツ、アルプスアルパインなど自動車部品メーカーがその代わりを果たし、自動運転ベンチャーのTIER IV(ティアフォー)も展示ブースを拡張していた。
ソニーがお家芸のテレビ事業を中国の家電大手、TCL集団に譲渡してしまったように、家電市場における日本企業の復権はもはや望めないが、ヘルステックやモビリティ、エンターテインメントなどは日本がまだまだ世界にプレゼンスを示せる分野である。日本の大企業経営者はそろそろ内向き志向やネガティブ思考から脱却し、世界のマーケットと再び対峙してほしいと強く感じた見本市だった。


