フィナンシャル・タイムズ紙の1月10日付け社説が、「縛りを解かれたトランプ」と題し、トランプは国内では無制約、国外では冒険主義になり、米国はホッブズ的秩序への移行を加速させていると述べている。主要点は次の通り。
2026年ほど衝撃的な幕開けを迎えた年があっただろうか。僅か7日余りの内に、トランプはベネズエラの大統領を拘束し、同国とその石油の支配を宣言した。そして一度の決定で、約66の国連および国際機関から脱退した。
トランプは自信満々で新年を迎え、失敗に終わってもおかしくなかったベネズエラでの賭けの成功が、更に彼を大胆にした。世界は、「縛りを解かれたトランプ」、すなわち、国内では自らを拘束するものがないと感じ、米国が好きなように国際的に行動する権利を主張するトランプと向き合っている。彼は、米国の支配を主張してきた西半球だけでなく、やれると判断すればどこでもやる。
これは、トランプの「アメリカ・ファースト」外交の大幅なエスカレーションに他ならないが、トランプは国内でも横暴を続けている。法的保護が欠如しているにもかかわらず、米石油産業にベネズエラへの復帰を強く迫る一方、住宅供給を増やすという名目で大口の機関投資家による戸建て住宅の購入を禁じるという的外れの措置を打ち出した。
移民・税関捜査局(ICE)の荒っぽいやり方は、ミネアポリスで非武装の女性が射殺される事態を招き、抗議運動が拡大。彼女が移民税関捜査局(ICE)職員を車で轢いたというトランプの主張は、動画を見れば疑問だ。
これらの行動が、トランプ自身の一貫した世界観に基づくものか、そんな世界観があるのかどうかさえも疑わしい。彼は気まぐれと直感で動く。
国外での軍事的冒険主義は、国内で低迷する支持率から目をそらす役割も果たす。79歳のトランプにとり、この過剰なまでの活発さは、衰弱や健康不安の噂への反論でもある。
第1期では、政権内の多くが彼を抑制しようとしていたのに対し、第2期では、ホワイトハウスの側近がトランプの無謀さを受け入れ、それを戦略にしている。首席補佐官代理スティーブン・ミラーは、「ルールに基づく秩序」の「お行儀良さ」を嘲笑した。彼は、政権は「強さや軍事力、パワーによって支配されている」世界の現実を反映しているだけだと主張する。
米国は数え切れないほど海外で軍事介入を行ってきた。1945年以降のルールに基づく秩序を構築し、維持しながらも、都合が良ければそのルールを破ってきた。
