2026年4月2日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月2日

 対イラン攻撃が続くさなかの3月7日、トランプ大統領はフロリダ州のドラル・リゾートにラテンアメリカの親米12カ国首脳を招き、米国の軍事力に頼って麻薬カルテルと対決していくための「米州の盾」同盟の設立を宣言した。12カ国は具体的には、アルゼンチン、ボリビア、チリ、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、ガイアナ、ホンジュラス、パナマ、パラグアイ、トリニダード・トバゴである。

(ロイター/アフロ )

 この「米州の盾」同盟設立の動きは、昨年12月の国家安全保障戦略で打ち出された西半球における米国の優位の確保と中国、ロシア等の影響力の排除を優先するドンロー主義に沿ったものである。これは、米国がこれまで欧州、中東、アジアに関与し続けたが故に、足元の西半球に中国の影響力が拡大し、米国自身の安全保障上も問題となっているとの反省に基づくもので、軍事面を含め資源の投入を西半球(グリーンランドを含む)にシフトすることを目指している。

 米国第一主義に基づく対外関与を控えるはずのトランプが、昨年のガザに関するイニシアティブを取り、また今般のイラン攻撃を行ったことについては、この政策には、元々いくつかの例外があり、イスラエルの安全保障、イランの核武装問題はそれらに該当するもので矛盾はなく、トランプのイラン攻撃もそれ自体の優先度に応じたものだということであろう。しかし、なぜこのタイミングなのかについては判然とせず、最近のドンロー主義の主張を考慮するとその背景には、米国は事態をコントロールはしつつも、早期に中東への実質的関与から手を引き、西半球に集中したいとの焦りのようなものがあるようにも思える。

 ルビオ米国務長官は、ハメネイ師を含む48人のイラン指導者を抹殺したことをショック療法として早期決着へ向けての大勝利と位置付けたが、今やその点を疑問視し、終わりの見えない状況に陥りつつあると見る専門家の方が多いのではなかろうか。いずれにしても、殉教と正義による報復を宗教上の美徳とするイラン・シーア派の伝統とホルムズ海峡の事実上の封鎖は散発的なミサイル攻撃や自爆型ドローンでも不可能ではないことを考慮すれば、事態が長期化する可能性は高い。


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