2026年4月2日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月2日

中国への意識

 米国にとっての主たる懸念は、中国のメキシコ市場への自由な参入、パナマ運河への中国の影響力、南米の物流に変革をもたらすペルーのチャンカイ港の中国による支配、中国・ブラジル間のさらなる関係強化、そして、アルゼンチンが中国に管理権を与えた50年間の宇宙基地契約等であろう。特に、中国がメキシコで自由に経済活動を行えば米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)との両立は困難となるので対中国高関税措置や自動車分野等での事実上の投資規制等がUSMCA協定見直しの1つのポイントとなるであろう。

 そのような駆け引きの中で、普通であればトランプも麻薬カルテル対策のためにメキシコへの軍事的介入は控えると思われるが、そこはトランプであるが故に油断はできない。

 パナマ運河については、中国系企業との運河両端にある港湾運営管理契約が憲法違反で無効という最高裁判決が出された結果、政府は18カ月内に新たな契約を入札にかける方針であるが、中国企業が応札から締め出されるわけではなく問題は引き続き残っている。チャンカイ港管理会社やアルゼンチンンの宇宙基地も、契約を一方的に破棄することは難しく、何らかの形で軍事利用させないための圧力をかけていくしかないであろう。

 いずれにせよ、米側がこうした点にこだわれば、反麻薬カルテルのための軍事協力に慎重なペルーやグアテマラ、さらに米国の介入を拒否するメキシコ、ブラジル、コロンビアとの関係がむしろ地域の分断を深めることになる恐れもある。ペルーは4月、コロンビアは5月、ブラジルは10月にそれぞれ大統領選挙を控えており、政権が現在の左派系から親米の右派に移行するか否かで大きな違いが生ずることになる。

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