2026年4月2日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月2日

 そうなれば、トランプは単に西半球に専念できないのみならず、かつてイランはベネズエラやボリビアと極めて緊密な協力関係にあったこと、さらにはヒズボラの資金源と疑われるアルゼンチン・ブラジル・パラグアイ国境地帯のレバノン系コミュニティの存在もあり、「米州の盾」同盟は、反麻薬カルテル連合とは称するが、資金洗浄、サイバー犯罪なども含め、親イラン残存勢力を意識したものであったかもしれない。

キューバに行動を起こすか

 トランプ政権の手法は、この地域で左派から右派に政権が振れている機会を最大限利用し、まず、反麻薬カルテル措置を錦の御旗として、米軍を受け入れる同盟国については治安維持の分野で米軍、米国の装備、米国情報機関に依存する関係を構築することを当面の目標としており、今般のサミットはその重要な第一歩である。

 トランプは、イランが片付けば次はキューバに対応すると言っているが、むしろイランとの関係が膠着状態に陥る場合には、イランから注意をそらすためにも、今や追い詰められており成果を出せるとトランプが信じているキューバに対して何らかの行動を起こす可能性もあるであろう。キューバに対しては、軍事面での圧力と共にエネルギーや経済面での米国依存に誘導して友好的な掌握(Friendly Takeover)を目指すのであろうか。

 ドンロー主義のより重要な目的は中国の影響力の削減であるが、南米諸国は既に中国への経済面での依存が相当程度に進んでおり、中国との間の通常の貿易・投資関係を覆すことはもはや困難であろう。米国ができるのは、インフラ等の軍事利用をさせない事、二国間の安全保障協力の強化、さらにはエネルギーやレア・アース等戦略分野での新たな権益を渡さないように圧力をかけるといったことに留まるであろう。


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