中国がバイオ新薬開発の主導権を握りつつある。米国トランプ政権が医薬品業界を締め付け、米国国立衛生研究所が供給してきた創薬に関する研究費を削減したことが、今まで世界の新薬開発のエンジンだった米国の失墜をまねいたのか? 詳細に解析すると、その背景にバイオ医薬品産業が急速にiPhoneと同じような組み立て産業に変貌しつつあることがあった。それを加速したのが、後述する〝アンサンブル創薬〟という革新的な創薬手法だ。
米金融大手ゴールドマン・サックスによると2025年上半期時点で世界の新薬開発件数の半数を占め、世界の新薬の開発パイプラインの3分の1を中国が有するという。今や続々と治験結果が発表される中国の新薬パイプラインに欧米のビッグファーマが殺到、遅ればせながら25年には、わが国のアステラス製薬や武田薬品も大型導入契約を締結した。
25年上半期には世界の新薬製品導入の件数と金額で、それぞれ27%、480億ドル(全世界の32%)を中国が占めたという。
にわかに信じられない数字だが、米国の食品医薬品局(FDA)に相当する中国の新薬の許認可機関である国家薬品監督管理局(NMPA)の発表を伝えたサウスチャイナモーニングポスト(26年1月8日付)によると、25年は157件、総額1357億ドルの新薬の導出契約が中国外の製薬企業・バイオベンチャーと締結された。24年には94件、総額519億ドルの契約だったので、件数で1.7倍、総額で2.6倍と急増している。23年頃から中国のバイオ新薬の世界市場での存在感が増していることは間違いない。
