ノルウェーとアイスランドで異なる事情
一方、ノルウェーはアイスランドとは少々様子が異なる。世論調査の数字は、賛成:35~37%、反対:48~55%といったところらしい。賛成が増えて来ているが、世論はなお分断されている。
政権を担当する労働党は賛成だが直ちに加盟とはならないということらしい。野党の保守党は加盟賛成である。加盟申請の機会が訪れれば申請するとの立場を表明しているが、他方、賛成多数が明確になるのを待ちたいとしている。
ノルウェーは72年と94年の過去2回、加盟交渉が成立後に国民投票で加盟を拒否したことがあり(94年には52.2%が反対票を投じた)、これらの政党は国論を二分する議論を提起することに慎重を期しているように見える。その間、ノルウェーはアイスランドの交渉の行方を注視することになろう。
ノルウェーはEEAを通じてEUと緊密な関係を維持して来たとはいえ、仮に加盟するとすれば、交渉は容易でないと思われる。農業、漁業、年金などの社会福祉、石油・ガスの問題があるであろう。
ノルウェーにとってEEAを通ずるEUとの関係は常に厄介な問題であり続けている。EUの単一市場へのアクセスを得る見返りに、ノルウェーはEUが随時定める単一市場に係る規制を受け入れねばならないが、規制の内容に発言権がないことが問題視されている。EU予算への一定の拠出も必要とされている。
2025年1月、エネルギー分野の3本のEU指令を受け入れることを拒んだ中道の中央党が労働党との連立を離脱する一件があった。現在の労働党政権は少数与党の政権である。
EUに加盟すれば、問題は解決しすっきりするが、ノルウェーが重視する漁業やエネルギーを含め広い範囲でEUの規制に服すことを要するとのジレンマに陥る。因みに、中央党はEU加盟に反対である。
それにひきかえ、アイスランドとの交渉に大きな問題はないはずである。漁業は相互に問題であるが、アイスランドが求めているのは経済ではなく地政学的な不確実さに備えるための長期的な安全である。
EUは加盟交渉の再開に前向きだとこの記事にある。EUには地政学上の役割も期待されている。

