4月22日付けフィナンシャル・タイムズが、「ドイツは欧州防衛のための責任を強化する」との解説記事を掲げ、ドイツの戦後初の軍事戦略の内容を説明している。概要は次の通り。
ドイツのピストリウス国防大臣は、独の第二次世界大戦後初の軍事戦略発表に際して、ドイツは北大西洋条約機構(NATO)の枠内でより大きな役割を担うと述べた。同大臣は、欧州連合(EU)最大の人口国ドイツが、欧州最強の通常戦力軍となると宣言する一環で、兵員数増大と即応能力強化を急速に進めると述べた。
「欧州のための責任」と題する新軍事戦略は、ロシアのウクライナへの本格的侵攻を受け、ドイツの防衛と安全保障に対する対応を根本的に変えるものだ。ドイツは、2022年以降、防衛支出を劇的に増大してきた。就任以来トランプ大統領が対ウクライナ支援を大幅に減らす中で、ドイツは最大の対ウクライナ兵器供給国になった。
ドイツはこれまで防衛白書を発表してきたが、第二次世界大戦以降、軍国主義的または国粋主義的と見られることを避ける努力をし、NATOの枠内での行動に集中してきた。ドイツには、いまだに「国益」の定義の必要性を否定する向きもある。新軍事戦略は、EU最大の経済規模のドイツは、同盟国に対して、対ロシア抑止とNATO防衛のための「特別の責任」を有する、としている。
戦略は、NATOの同盟国として、米国の信頼性への疑念増大に関する議論は避けている。ピストリウスによれば、ドイツは当然ながらそのようなシナリオについても念頭に置いているが、それを公の場で議論すれば、戦略の意味は完全に失われる。
戦略文書の多くの部分は秘密だ。なぜならプーチンに見せるわけにはいかないからだ。戦略は、米国は政治的にも軍事的にもNATOにとり必須の存在だと言う一方で、米国は戦略的方向性を西半球とインド太平洋に益々向けていることを認め、欧州同盟国の一層の貢献を求める。
戦略は、ドイツ軍は同盟の中で単独行動能力強化の必要があると言う。また、情報、監視能力、ロシア領域深部への攻撃を可能とする長距離精密兵器を含む、欧州軍事能力の不足分を補う必要性を強調する。
軍事・民生と経済的攻撃目標の差が一層不透明になり、ハイブリッド戦が当然となり、自立兵器とAIの役割が増大するといった、戦争の形態の変化を取り上げ、データ収集と分析において優位に立つため新しい革新的技術に急速に適応することが重要だとしている。
