この動きの背景には、防衛における欧州の米国離れがある。実際、EUは3月、安全保障を強化するために最大8000億ユーロ(約147兆円)の資金を確保する計画を公表し、その一環で域内企業を支援する最大1500億ユーロ規模の加盟国向けの融資制度「欧州安全保障行動(SAFE)」を設けた。
SAFEには、EUが認めた有志国も加わることができることになっている。日本とEUは24年11月、インド太平洋地域で初の安全保障・防衛のパートナーシップを結んだため、日本は共同開発製品に占める日本製部品の比率が35%以内なら関与できる。
日本の参画
この協力を拡大するため日本政府は昨年、EUに同制度への本格的な参画を打診している。加盟国の承認を得られ次第、正式な参加交渉に入る見通しである。
韓国、英国、トルコも参画の意向を示し、カナダは先行してEUと交渉している。協定を結べば、EU加盟国企業と日本企業が共同開発する際、35%よりも高い比率で日本製部品を使っても融資対象となる。
一方、日本が本格参加するには、EU側に一定額の資金の拠出やNATO標準の製品仕様にするといった条件を満たす必要があり、それらの対応次第で日本製部品がどれだけの割合を占められるかが決まる。これは相互運用可能性を高めるため非常に意味のある動きであるともいえよう。
また、4月17日には、日EUは、防衛産業協力強化に向けた初の「防衛産業対話」をブリュッセルで開催し、防衛装備品の開発や生産で連携し、産業基盤を強化する方針を明確に打ち出した。具体的には、ドローンや人工知能(AI)、量子技術などの軍民両用技術を含め、先端技術で連携できる分野を検討する。これらの協力は、従来はNATOとインド太平洋パートナー国(IP4)との協力の枠組みで論じられてきたが、財政的裏付けにより、EUとの協力が先行している。
これらの動きを推進する上で、今回の武器輸出三原則の緩和は不可欠だった。緩和に対しては批判も多いが、日欧間で具体的な協力実績を積み重ねていくことを通じて、その意義を十分説明することが重要だろう。

