2026年5月7日(木)

プーチンのロシア

2026年5月7日

 ロシア・ワールドカップは好天続きだったが、なぜか決勝戦だけ雨模様となり、試合終了後には土砂降りとなった。表彰式の際に、激しい雨でクロアチアの女性大統領らがずぶ濡れになっているのに、護衛がプーチン大統領だけに傘を差し出していたということで、各方面から批判が寄せられた。今思えば、堰を切ったように振り出した大雨は、何かを暗示していたのかもしれない。

国際舞台からの追放

 時は移ろい、21年の晩秋。翌年のFIFAワールドカップ・カタール大会出場をかけた欧州大陸予選のグループリーグが、佳境を迎えていた。グループHでは、11月14日の最終節で、勝ち点22で首位に立つロシアが、勝ち点20で追うクロアチアと、敵地スプリトで対戦した。

 試合はクロアチアがシュートの雨を浴びせるもスコアレスのまま進み、時計の針はすでに80分を回っていた。このまま10分+αを無失点で耐え抜けば、ロシアはカタール大会にストレートで出場できるはずだった。

 ところが、81分にロシアの左サイドバックが何でもないクロスの処理を誤り、オウンゴールを犯してしまう。結局試合は1:0で終了し、勝ち点でロシアを逆転したクロアチアが本大会出場を決めたのだった(そしてカタールの地ではこの国が、日本が目指したベスト8入りを阻むことになる)。

 グループHで2位に終わったロシアはプレーオフに回り、パスBに組み込まれ、その準決勝でポーランドと対戦することになった。ところが、ここで驚天動地の事態となる。サッカー・ロシア代表がポーランドとのプレーオフを翌月に控える中、プーチン政権は22年2月24日、ウクライナへの全面軍事侵攻を開始したのである。

 これを受け、2月28日にFIFAと欧州サッカー連盟(UEFA)は、ロシアのすべての代表チームおよびクラブチームの国際大会出場を禁止する措置を採った。ポーランドは不戦勝となり、パスBの決勝でもスウェーデンを破って、本大会出場を勝ち取った。

 もちろん、21年11月14日の試合で、ロシアがクロアチアに勝つか引き分け、その時点で本大会出場を決めていたとしても、その後プーチン政権がしでかした国際法違反の重大性を考えれば、ロシアの本大会出場は認められなかっただろう。しかし、すでに出場権を勝ち取った国からそれを剥奪するとなれば、より大きな軋轢を生じさせたはずだ。それを防ぐ形となったクロアチア戦のオウンゴールは、不思議な運命のいたずらだった。

 現在までのところ、敵地に散ったその21年11月14日の一戦が、ロシア代表が国際的な表舞台で公式戦を戦った最後の機会となっている。プーチン政権が軍事侵攻を続ける中でも、ロシア代表は試合を重ねてはいるが、旧ソ連や中東・アフリカ等の友好国を相手にした親善試合ばかりである。中には、ブルネイ相手に11:0などという試合もあり、これを観て面白がる人がいるのだろうかと疑問を感じる。


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