2026年2月24日(火)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2026年2月24日

 我が国の水産予算のうち資源評価・調査に関係するものとしては、上記のほかに沿岸資源の資源管理協定(後述)に直接関係する「資源管理等高度化推進事業」の7億5000万円、漁獲情報の電子的収集強化等に充当される「スマート水産業推進事業」の16億7000万円がある。これらを全て足し合わせると、294億円になる。

トランプ政権に遠く及ばぬ日本の資源管理予算

 では、この予算の規模感をざっくりと掴むため、米国と比べるとどうなるか。米国は排他的経済水域の広さでは日本を大きく引き離すが、漁業就業者数は日本が11万人である一方、米国の商業漁業者(commercial harvesters)は18万人と、数万人多い程度となっている。23年の漁業・養殖業生産量では日本が380万トンである一方、米国は460万トン(FAO統計FishStatより)とさほど大きな違いはない(ちなみに10年までは日本の方が上回っていた)。

 米国連邦政府下では水産資源の管理は海洋大気庁(NOAA)の一部門である海洋漁業局(National Marine Fisheries Service: NMFS)が担っている。NOAAの26会計年度予算書によると、NMFSで資源調査・評価に直接関係する予算項目である「漁業・生態系科学プログラムおよびサービス」と「漁業データ収集・調査・評価」の24会計年度での合計額は3億6535万ドル(1ドル=150円換算で548億円)で、日本の資源評価・調査関係予算の1.9倍である。

 トランプ政権下での26会計年度予算案によると、先述の資源調査・評価に関係する予算項目の合計額は3億2571万ドル(1ドル=150円換算で489億円)とかなり減額されているが、それでも日本の予算の約1.7倍に相当する。ただ連邦議会は1月15日、ここから増額し、資源調査・評価項目の額を3億7555万ドル(601億円)とする歳出法案を可決、23日に大統領が署名したことから正式に成立している。

 資源管理に関する最終的な予算額は、実に日本の2倍である。言い換えると、日本の水産資源管理予算は、温暖化はないと言い張るなど科学を敵視するかのようなトランプ政権下での米国のそれと比べても、2分の1に過ぎないということになる。

資源管理なき減収補填補助金

 ただでさえ多いと言えない日本の資源管理予算には、沿岸漁業に関するものが圧倒的に足りず、その一方で補助金ばかりが多いという課題もある。

 水産庁の資料によると、海面養殖業を除く沿岸漁業経営体数は全漁業経営体の8割近くを占め、その漁業従事者数は全体の5割を占める。こうした沿岸漁業では、漁獲の総枠(「TAC」と呼ばれる)を設けて管理していない魚種の漁獲は量で約6割、生産額で約8割を占めている。

 沿岸漁業でTACを設定していない魚種の管理に関しては、その多くの部分が基本的に各沿岸での自主的な取り組みに委ねられおり、沿岸の各漁協レベルで作成される「資源管理協定」を活用することになっている。この協定に参加する漁業者は「積立ぷらす」と呼ばれる減収補填プログラムに加入することができる。

 もし漁獲変動等に伴い収入が減少した場合、原則として平均収入額の90%まで補填されるという手厚い内容となっており、国はこのプログラムに水産予算の約1割に当たる343億円を充当している。減収補填のための補助金である。

漁港整備等に供される公共予算や「積立ぷらす」等の減収補填補助金(343億円)が水産予算において占める割合が高いことが分かる 写真を拡大

 ところが減収補填プログラムの前提となっている資源管理協定には「週に一度の休漁」のみといった資源管理の実効性に欠けるものが少なくないと批判されている。水産庁内部からも協定の大部分は機能していないとの指摘がある。


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