カール・ビルト元スウェーデン首相が、Project Syndicateのサイトに2月17日付けで掲載された論説‘Marco Rubio’s Sugar-Coated MAGA’で、ミュンヘン安全保障会議におけるマルコ・ルビオ国務長官の演説は昨年のJDバンス副大統領の演説とは打って変わって欧州には穏やかに聞こえる演説だったが、糖衣をまとったMAGA(Make America Great Again:米国を再び偉大にする運動に賛同する人々)の演説であり、実質は何等の変化を示すものではなかった、と論じている。要旨は次の通り。
今年のミュンヘン安全保障会議でマルコ・ルビオが演説に立った時、トランプ政権がレトリックを変えようと意図していたことは明らかだった。JDバンスは昨年の演説で欧州の指導者を威圧し侮辱したが、ルビオはお世辞に熱心のようだった。欧州の歴史と文化に敬意を払い、米国自体が欧州の子であることを認めた。
大西洋を跨ぐ関係にコミットしている者すべてが恐怖をおぼえて1年後のことであり、欧州の耳には素敵に響いた。トランプ政権は「文明の消失」を招いていると欧州を非難しただけではない。北大西洋条約機構(NATO)加盟国の主権の下にあるグリーンランドを奪取すると脅かした。ルビオは変化の合図を送ったのか?
その反対で、拍手が止むとトランプ政権の基本的なメッセージは同じであることが明らかになった。その実質においても世界の見方においても、ルビオの演説はトランプ政権と欧州との間には深い溝があることを暴露した。特に、ウクライナに対するロシアの侵略は、プーチンに対する批判は全く欠いたまま、ついでに触れられただけだった。
ロシアの脅威は欧州にとって最大の懸念である。欧州の明日の安全にとって今日のウクライナの防衛は死活的に重要と認識しているからだ。しかし、トランプ政権にとっては、この問題は言及する価値すらない。このように、基本的な脅威認識においてすら、米国と欧州の間の溝はこれ以上広がりようがないほど広い。
ルビオは、欧州の文明と歴史を称賛する前に、MAGAの歪んだ鏡に映る現時点に至るまでの出来事の姿を概説して見せた。冷戦終結以降の数十年は「危険な妄想」と「自由で障害のない貿易という独善的なビジョン」に基づくものだった。「ルールに基づく世界秩序」は、5000年の人類の歴史の教訓を無視し、あまりに多くの社会を「気候のカルト」に追い立てた「使い古された言葉」であると彼は論じた。
「ルールに基づく世界秩序」は決して完璧ではなかったが、大国間の最後の血生臭い抗争の後、それが達成した実績は奇跡的に近いものだったことを我々は承知している。
