2026年3月4日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年3月4日

 ミュンヘンで登壇しForeign Policy誌の編集長の質問に答えたエルブリッジ・コルビー(国防次官)は、NATO加盟国がロシアに攻撃されNATO条約第5条(集団防衛についての規定)を援用した場合、米国はこの国の救援に赴くかを問われ、米国は第5条にコミットしていると応答したものの、YESまたはNOを答えることを拒否し、「冷戦後のNATO2.0はリベラルな「ルールに基づく秩序」の抽象論に焦点を当てていたが、今や我々が推進しているのは公平で持続可能なモデルであるNATO3.0(トランプのお陰で国防支出を拡大して強くなったNATO)であり、そこでは通常戦力による防衛は欧州が一義的な責任を担うことになる」と述べた。

 「NATO3.0では第5条の質問に対する答えにならない」とのさらなる質問に対し、コルビーはそれが答えだと主張し、米国の利益に対する脅威、米国がなし得る貢献の有効性、同盟国のなし得る貢献の如何などに我々は戦略を関連付けており、前政権の「ルールに基づく国際秩序」による規範的なアプローチは採らないと述べた。

ルールを嫌うトランプ政権

 ルビオにしろ、コルビーにしろ、どのような理屈を展開しようとも、トランプ政権がルールに縛られることを極端に嫌っていること、特にルール(NATO条約第5条も重要なルールである)に従いコミットメントを強いられることを極端に嫌っていることは明白である。トランプ政権が勝手気儘に振舞うためだと思わざるを得ない。トランプの行動様式がコミットメントには適合しないこと、よしんばコミットメントをなしたとしてもその信頼性に問題があり得ることとも関係があるかもしれない。

 イランやベネズエラではルールの及ばざるところを米国の一方的な行動が補って解決したようなことを述べているが(ルールが現実の変化に追いつかず適合し得ていない側面はあるかも知れない)、その行動がルールを破壊している。国連の無力もその責任の一部は米国にあるであろう。

 この論説が末尾で述べているように、「欧州は強大国の気紛れに服従する世界には何の関心もない」。だとすれば、米国と欧州の分断はなお拡大を続けることになろう。

1918⇌20XX 歴史は繰り返す▶アマゾン楽天ブックスhonto
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る