2026年4月29日(水)

WEDGE REPORT

2026年4月29日

 次世代光通信技術「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」の推進組織「IOWN Global Forum(アイオン・グローバル・フォーラム)」が4月中旬、オーストラリアのシドニーで年次総会と技術公開イベント「FUTURES(フューチャーズ)」を開催した。オセアニア地域での総会開催は初めてのことで、メンバー約220人が参加し、シドニー大学の教授や地元通信会社の経営幹部らが講演した。

豪シドニーで開かれたIOWNグローバルフォーラムの年次総会(筆者撮影、以下同)

 テーマとしては、これまでのAI(人工知能)データセンターなどへの利用に加え、鉱山でのマイニング(採掘)や宇宙通信、光量子コンピューティングといった新しい分野に向けた光技術の可能性が議論された。現地で取材した会議の模様をリポートする。

オーストラリアが重要なデータセンターに

 「AIの爆発的な需要拡大により、2030年までにアジア太平洋地域で約8000億ドル(約128兆円)のデータセンター投資が見込まれている。牽引役は中国だが、これは世界需要の約4分の1を占め、オーストラリアはそこで優位な立場にある」

 IOWNの技術公開イベント「FUTURES」で講演したシドニー大学米国研究センターのオリビア・シェン教授は、AI時代のオーストラリアへの期待を指摘した。オーストラリアはアラスカ州を除く米国本土とほぼ同じ面積を有し、太陽光や風力など自然エネルギーにも恵まれ、「データセンターを設置するには格好の場所」というわけだ。

FUTURESで講演するシドニー大学のシェン教授

 シェン教授は「シドニーとメルボルンにはすでに約250のデータセンターがあるが、新たな建設計画が進んでおり、データセンターの投資先としてオーストラリアは米国に次ぐ世界第2位の地位にある」と指摘する。法制度や国家安全保障など安全面でも欧米諸国と肩を並べており、米国のようなデータセンター建設に対する反対運動も起きていないと語る。

 最近は世界各国がデータセンターのソブリニティ(主権)を重視しており、欧米並みのセキュリティ対策やプライバシー保護を行っているオーストラリアはデータセンターの有力な建設候補地だという。

 今回、IOWNグローバルフォーラムがシドニーで年次総会を開いたのも、そうした優位な条件を備えるオーストラリアをIOWNのグローバル戦略に取り込んでおきたいという思いからだった。年次総会のホスト役を務めた米アクセンチュアのチーフ・ストラテジー・オフィサー(CSO)、ジェファーソン・ワング氏は「IOWNの超低遅延、超高速大容量のネットワークを使えば、オーストラリアのような再生エネルギーが利用できる電力コストの安いところにデータセンターを配置できるようになる」と述べた。


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