2026年4月24日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月24日

 2026年3月28日付ワシントン・ポストは、イランとの戦争によって米国の軍事アセットと戦術的注目が中国の挑戦への対応から削がれる状況となっていることを台湾と日本が懸念していると指摘する解説記事を掲載している。

(bogdanserban/gettyimages・ロイター/アフロ )

 米国のアジアにおける同盟国とパートナーは、米国の中東における戦争が長引き、中国についての安全保障上の懸念が置き去りにされる悪夢のシナリオを懸念している。日本もフィリピンも、また台湾も韓国も、米国がイランとの紛争をエスカレートさせた事態を懸念しつつ注視している。

 物価高騰や天然ガス不足が経済に悪影響を与えているが、加えて、イランとの戦争によって、米国の軍事力と戦術的注目が、インド太平洋における中国の脅威への対応から削がれることとなっていると関係者は指摘している。

 韓国に配備されていたミサイル防衛システムの一部がペルシャ湾に移動された。日本に駐留する海兵隊数千人が中東に向かうように命じられた。米中首脳会議が延期されたことに伴い、米国から台湾への武器供与を進めるタイミングも先に延びた。

 アジアの指導者たちは、トランプ政権がイランからの出口を見いだすことを心配しつつ見守っているが、早期に和平が実現することは困難な情勢である。米国の外交官は、トランプ政権としてインド太平洋地域の安全保障の守手としての役割にコミットしており、イランの脅威を取り除くことは、戦略的に重要な「アジアへのシフト」のために、より多くの資源を解放するものだと説いている。

 とはいえ、台湾の関係者は「アジアにおいて米国の軍事力が使用可能な状況であってはじめて抑止が機能する。軍事アセットは同時に2カ所に展開させるわけにはいかない。米国は多くの軍事資源を持つ国であるが、限界もある」と指摘する。米国が地上軍をイランに派遣すれば、イラクやアフガニスタンでの複雑で消耗する占領の再来となりかねない。

 また、台湾にとってもう一つの懸念は、中東のエネルギーへの依存のため、台湾の指導者がエネルギー危機への対応に追われ、中国の軍事力増強や台湾社会への認知戦への対応がおろそかになることだ。


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