日本は、憲法上の制約から、日本の安全保障に直接関係しない事態に対して軍事力を展開することはできないが、日本の指導者たちは、イランとの戦争に関し米国から同盟国として求められた支援の要求に抵抗することが、日本防衛についての米国のコミットメントに悪影響を与えないかを懸念している。
この戦争は既に、米国は信頼できないパートナーだとのメッセージを中国が声高に主張する機会を与えている。中国の指導者は、この戦争から利益を得るために大きな努力を要しないことを認識している。
中国の一般的な態度は「様子見」である。「われわれの戦争ではない。米国が引きずり込まれ、歴史が繰り返されるのを見ていればよい」というのが中国の見方である。
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手薄になる東アジア
上記は、米・イラン武力衝突がアジアに及ぼす影響を解説したワシントン・ポストの記事である。米・イラン武力衝突が東アジアにおける安全保障の力学に与える影響は多岐にわたる。
まず、米軍が兵力を中東地域に集中させることの影響がある。人員、装備の東アジアから中東への移動は、東アジアを手薄にする。また、米軍はイランとの武力衝突で、巡航ミサイルや迎撃ミサイルを多数使用しているようであるが、簡単に量産できるものではないので、他地域で紛争が生じた際の継戦能力に不安を生じさせかねない。
米国の同盟国・パートナーの対応能力への影響もある。これらの国が直面する経済的課題に加え、それへの対応が防衛力強化など他の政策課題に取り組むことの足かせとなる問題が生じる。
その他にも、影響を及ぼす事柄がある。一つは、大規模な武力衝突が起これば、使われるのは人員、装備だけではない。米国として、政策を立案・検討するための関心・時間・エネルギーが現に生じている武力衝突に集中して向けられる。その分、他の地域についての政策的な取り組みはおろそかになってしまう。
次に、既に現実化しているように、米国にとって、自ら血を流している武力衝突への同盟国・パートナーの姿勢は感情的な問題を引き起こしかねない。ドイツのメルツ首相が「これは欧州の戦いではない」と言えば、トランプは「ウクライナは俺たちの戦争ではない」と言い放つこととなる。
