2026年4月24日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年4月24日

 こうした不満から、トランプは北大西洋条約機構(NATO)を「張り子の虎」と酷評している。トランプの性格を考えると、自らが判断し、同盟国への協議もなしに始めた武力衝突ではあるものの、この武力衝突への同盟国・パートナーの協力姿勢に起因する感情はトランプ政権の今後の対外関与の姿勢に影響を及ぼす一要因となろう。

ロシアや中国との「手打ち」の可能性も

 さらに武力衝突が泥沼化すれば、米国の対外関与への姿勢を消極的なものとしかねない。ベトナム戦争に疲れた経験は1969年のニクソン・ドクトリンに現れる対外関与への抑制姿勢に繋がった。イラク戦争、アフガニスタン戦争の経験は「アメリカ・ファースト」を生む底流の一つとなった。

 これは武力衝突が長引いた場合に中長期的な影響として現れてくる可能性があり、現時点では、米・イラン武力衝突が起こってからまだ1カ月半であるので、前記の事案を思い起こすのは時期尚早ではあろうが、この武力衝突を早期に収拾しないとそのような傾向を生じさせかねない。

 仮に米国が対外関与を消極化した場合、あり得る選択肢の一つは、ロシアないし中国との「手打ち」を進めることであろう。もともとトランプには、プーチンや習近平を重要な取引相手として大事にする傾向があり、対外関与を縮小するのに、これらの相手との「取引」を進めるのは魅力的な対応策であろう。

 それは、米国やその同盟国・パートナーの利益には逆行するが……。このように、米・イラン武力衝突は、東アジアにもさまざまな波紋を引き起こす。日本としては、自らに降りかかる経済的悪影響に対処しつつ、日米同盟への中長期的な影響を極小化するように対応していくことが求められる。

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