2026年3月26日(木)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2026年3月26日

 イランに対してイスラエル、アメリカが事実上戦争状態に陥る中での高市早苗首相の訪米には、様々な懸念の声があったが、結果的には成功であった。日本で懸念のあったペルシャ湾への艦艇派遣については、停戦が成立しなければ不可能という法理をアメリカに理解させたことは、日本の利というだけでなく、アメリカとイランという当事者間の態度軟化の契機となったようで、望外の効果があったと言えよう。

(首相官邸HPより)

 また、相互関税がアメリカ側の連邦最高裁判決で無効化される中では、対米投資の拡大など追加の要請が突きつけられるという見方もあったが、こちらも杞憂に終わった。アメリカ側の要請ということでなく、孫正義氏によるAIに絡んだ投資額の上乗せが提案されたこともあり、トランプ政権には全体的な好印象となったと理解できる。

 高市首相自身によるトランプ氏への態度が迎合的だという批判もあるが、共に大衆政治家という宿命を背負っている中では、必要悪であるし許容範囲とする他ないであろう。象徴天皇制を掲げる日本としては、総理大臣とはあくまで行政府の長であり、国民統合を象徴する存在ではない。従って総理が実務と実利のためにこの種の逸脱を行っても、国の威信は揺らぐことはない。

 このように、今回の首相訪米はイラン情勢と、日本の対米投資というのがテーマという理解がされている。けれども、その裏では別の力学が動いていたと考えられる。それは、日米における金利と為替の「せめぎ合い」である。特にこの3月下旬というタイミングが、非常に微妙な問題となっていた。


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