6割が外国産米になった味噌業界
米菓業界とともに味噌業界も原料米確保に苦しんでいる。近年「追いこうじ味噌」という従来の味噌に比べコメの使用割合を高めたものが人気になっており、原料米価格の安定は味噌業界の最重要課題になっている。
昨年から国産米の価格が上昇し始めたことから味噌業界は高値の国産米を敬遠し、外国産米の使用割合を増やしている。全味連がまとめた業界全体の原料米使用状況によると24年度は国産米の使用量は2万7211tであったのに対して、外国産米の使用量は4万3674tになっている。使用比率は国産米38.4%に対して外国産米が61.6%。前年度の使用比率は国産米58.7%、外国産米41.3%だったので、使用比率が逆転している。
過去には国産米の使用比率が8割を超えていた時もあり、近年、国産米の生産量が減少するのに伴って味噌業界が使用する数量も減っている。味噌メーカーの中には「国産原料使用」を謳った製品を製造しているところや国産米で甘酒を製造しているところもあるだけに、異常とも言える国産米価格高騰は国産米使用減少に拍車をかける可能性も高い。
今や味噌業界の主原料になった外国産米はMA枠で輸入されたものが加工用向けとして売却されており、直近の売却価格はアメリカ産米が1t当たり17万400円、タイ産米が12万8700円になっている。MA米を買い受けられるコメ加工食品業界は幅広く、酒類用や調味料、菓子用、穀粉用、加工用(玄米茶、朝食シリアル、乳児食、ライススターチなど)となっている。
国の輸出戦略にも影響
これらコメ加工食品業界に売却されるMA米の数量は、22年度は5万3054tであったが、23年度は8万2920t、24年度は9万6562tと、増加の一途を辿っている。
その分国産米の需要が奪われていることを意味しているが、このことは国の輸出政策にも影響が出て来る。例えば米菓は昨年1年間で4556t輸出しているが、これに使用している原料米がMA米であれば、日本のコメ農家や産業には収益増などをもたらさない。
味噌の輸出量は昨年1年間で前年度より8%増え2万3497tに達し、過去最高数量になった。これも使用原料米が外国産米であれば国内の生産者に貢献しない。
今後の日本の農産物の輸出戦略を考える上でコメそのものではなく、世界的にニーズが高まっている伝統的食品としての米菓・味噌などの加工食品輸出の伸びが期待できる。こうしたコメ加工食品業界へいかに国産米を安定的に供給できる政策を講じることが極めて重要になっている。
